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ルールの法制化が話題に 解雇を巡る法律知識(前編)(3ページ目)

東京都の労政事務に関する報告によると、97年以降、労使間トラブルの相談内容のトップは「解雇」となっています。転職に関連する法律シリーズ。今回はこの「解雇」を取り上げます。

執筆者:西村 吉郎

■解雇理由の合理性を巡る問題

Q:病気で入院している間に解雇された

肝臓を悪くして1カ月ほど入院していた間に、雇用関係を解約されてしまいました。それと同時に健康保険も脱退したことになっていて、100万円近い入院費用を全額自己負担することになってしまいました。このような一方的な会社の処分でも、受け入れざるをえないのでしょうか。

A:休職中の解雇として解雇無効を主張すべき
労働基準法は、労働者が業務上負傷したり病気になったりして療養のために休業する場合には、休業期間中およびその後30日間は解雇できないとしています。また、就業規則などで休職期間が定められていても、業務上の傷病の場合には、その傷病が治癒するまでの期間とするのが一般的です。

一方、業務とは関連のない私傷病で欠勤する場合については、勤続年数などによって休職期間を区分しているケースが多いようです。たとえば、私傷病による欠勤が1カ月に達したときは、その翌日から休職扱いとする旨を定め、その後の休職期間を勤続年数1年未満は2カ月、1年以上3年未満は6カ月とし、その定められた休職期間満了後において、なお復職できない状態にあるときは、その時点で「休職期間満了による退職」として取り扱うことになります。

このように、就業規則によって休職期間が定められているにもかかわらず、あなたのように1カ月の病欠で、しかも休職中に解雇するという行為は、認められるものではありません。就業規則を確認のうえ、会社に対して解雇の取り消しを求めるとともに、健康保険の資格喪失取り消しの手続きをとるよう、要求するべきでしょう。

Q:解雇理由を聞いても答えてもらえない

先日、突然の解雇通告を受けました。しかし、どのような理由で解雇されるのかと問いただしても「自分の胸に手をあてて考えて見ろ」というばかりで、明確な説明がありません。自分自身、まったく思い当たる理由は見あたりません。納得いかないままでも辞めるしかないのですか。

A:解雇には正当な理由が必要、明示がなければ解雇無効に
法律上は、雇用契約も民法に規定する契約の一種ですから、労働者、使用者(会社)双方に解約の自由があることになりますが、労働者の側からの解約(退職)はともかくとして、会社の側からの解約(解雇)には憲法第25条(生存権)、第27条(労働権)などを根拠に、制約が設けられています。使用者が従業員を解雇するときは、社会常識から見て合理的といえる事情、理由がなければならないとされています。

合理的とされる解雇理由に該当するかどうかについては、個別の訴訟に基づいて裁判所が判断することになりますが、解雇事由そのものが明らかにされない場合は、会社が説明義務を果たしていない以上、解雇の正当性を問う以前に、解雇そのものが権利の乱用として無効と判断されることになるでしょう。

あなたの場合も、改めて会社に解雇理由の説明を求め、それでもなおはっきりした理由の説明がないときは、解雇そのものの無効を求めることができます。もし、説明がなされた場合でも、その理由次第では解雇の取り消しを求めることができます。納得できないときは、所轄の労働基準監督署あるいは近隣の総合労働センターなどで相談してみることをおすすめします。
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