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ルールの法制化が話題に 解雇を巡る法律知識(前編)(2ページ目)

東京都の労政事務に関する報告によると、97年以降、労使間トラブルの相談内容のトップは「解雇」となっています。転職に関連する法律シリーズ。今回はこの「解雇」を取り上げます。

執筆者:西村 吉郎


「解雇ルール」のポイント

労働基準法の改正以前は、解雇の禁止に関する規定として第19条に「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が(略)休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と定められていましたが、この規定以外の解雇については、その有効性を巡って多くの裁判が行われ、それぞれの事情に沿って個々に判断されていたのです。

そんな中、自治体の労政事務所や労働基準監督署が扱う解雇に関する相談件数は年々増加傾向にあり、厚労省は、何とかこれに歯止めをかけるため、労働基準法に解雇に関する明確な規定を盛り込むことにしたわけです。

つまり、企業が従業員を解雇するにあたっては「正当な理由」が必要となること、従業員が解雇を不服として争った裁判で「解雇無効」と判断されたとき、企業は従業員を復職させず金銭賠償で解決することを認めることが、保障されています。

整理解雇4要件とは?

会社の業績悪化などで、リストラをしなくてはならない場合に会社側が社員を解雇する場合は、整理解雇の4つの条件を満たしていなければなりません。

1: 経営上、人員を削減しないと会社自体が保たないなど人員整理の必要性があること
2: これまでに希望退職者の募集、配置転換などにより解雇を回避する努力が実施されていること
3: 解雇対象となる従業員の人選が合理的な基準に基づいていること
4: 解雇対象となった従業員の納得を得るために誠実な説明・協議を行っていること

これは、解雇を巡る裁判の判例から導き出されたものです。この4つの条件が、1つでも欠いていたら、解雇の無効を主張することが出来ます。「解雇権の濫用」にあたります。

たとえ、整理解雇4要件があったとしても、企業の活力を取り戻して経済の建て直しを図るためには、企業にある程度まで自由にさせたほうがよいという意見もあるし、厳しい解雇ルールの制定には企業はこぞって反対するでしょうから、それほど状況は変わらなず、結局は、解雇の口実を会社側に与えないように気を付けるか、もし理不尽な解雇を言い渡されたときに備えて、理論武装していくほかなさそうです。

というわけで、以下のQ&Aを参考に、現時点におけるトラブルの対処法を勉強してください。なお、このQ&A、法律に関するほかの記事と同じく、「週刊B-ing」の連載企画『今週の転職なんでも相談室』で取り上げたものです。重複する箇所を削除するなど、一部手を加えています。
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