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ルールの法制化が話題に 解雇を巡る法律知識(前編)(4ページ目)

東京都の労政事務に関する報告によると、97年以降、労使間トラブルの相談内容のトップは「解雇」となっています。転職に関連する法律シリーズ。今回はこの「解雇」を取り上げます。

執筆者:西村 吉郎


Q:説明ずみの経歴を詐称として解雇された

前職を辞めてから約1年間、複数の職場でアルバイトをしました。あえて書かなくてもいいかと思うアルバイトもあったので、履歴書には書かず、面接でそのことを説明し、了承を得ました。ところが、試用期間終了直前になって、経歴を偽ったとして正規採用を断られてしまいました。

A:了承済みの問題を詐称とする解雇は無効
アルバイトについて履歴書に記載しなかったのは事実でも、その点について面接で説明し、了解を得て採用されたわけですから、そのことを持ち出して、あたなの社員としての適格性を否定し、本採用を拒否することは合理性に欠けるといえます。解雇権の乱用として撤回は可能でしょう。

経歴の詐称を理由とした解雇が認められるのは、その事実が判明していれば絶対に採用していなかったか、あるいは採用後に賃金の過払いが生じているなど、具体的損害が生じている場合に限られるというのが一般的な考え方です。

だからといって、少しくらいのウソなら問題にはならないというわけではありません。ささいなことでも、それが判明した時点で何らかの処分を受けることになったり、評価を落とすことになるからです。経歴上どんな弱点があったとしても、すべて正直に告知しなければならないものと考えましょう。

また、口頭で説明するだけでは証拠が残らず、後々トラブルになることもあります。もし、履歴書に記載しなかった履歴などについて指摘を受けたときは、口頭説明した旨を、その場で履歴書の余白などに書き込んでもらうといいのではないでしょうか。

Q:昇進を拒否したらクビもあり得るのか

課長への昇進を打診されているのですが、仕事に対する責任の重さと自分の人生観などを考え合わせると、拒否したい気持ちが強まっています。昇進を拒んだ場合、そのことでクビになったりすることもあるのでしょうか。
             
A:解雇はありえないが将来的には不安も
結論からいうと、昇進を拒否したという理由だけで解雇されることはありません。しかし、昇進と同時に配置転換や転勤を伴うケースでは、業務命令に違反したとの理由で会社が解雇や懲戒処分に出ることもあり得ます。そのような処分がなかったとしても、あなたの課長昇進を推薦した上司は立場上、あなたとは距離をおくようになるまもしれません。

昇進は、責任の増大と並行して給与は上がり、権限も強くなりますので、より大きなやりがいを求める人にとっては魅力といえるでしょう。しかしながら、ポストの重みと家族を含めた自分の生活、仕事内容などをはかりにかけた場合に、必ずしも昇進を希望しないとする選択もあります。たとえば最近では、管理職コースと専門職コースに分けるような、複数の処遇制度を用意し、社員に選択させる人事制度を持つ企業も少なくありません。

ただ、近年は、どの会社も雇用コスト削減を主目的としたリストラを行う企業が増えています。趣味を優先したいなどの理由で昇進を拒否すると、もともと辞めたがっていたのではないかと勝手に解釈され、真っ先に肩たたきの対象にされないとも限りません。拒否する場合は、「将来的にも、専門職としてもっと技術を高めていきたい」など、仕事に絡めた理由にする配慮が必要でしょう。
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