転職のノウハウ/内定・入社・退職手続き

入社辞退の注意点とメール文例……就職確定後の断り方とは?

新卒採用であれ転職・中途であれ、せっかくもらった内定を辞退するのは勇気が必要です。内定承諾後の就職辞退の機嫌やタイミングはいつまでなのでしょうか?就職の入社辞退の注意点やお詫びメールの文例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

執筆者:西村 吉郎

入社辞退・内定辞退をする際には……

入社辞退の注意点とメール文例……就職確定後の断り方とは?

入社辞退をするには?



新卒・中途に如何にかかわらず、応募先から内定通知をもらうほどうれしいことはないでしょう。しかし、内定に対して入社の返事をしたあとに、並行して応募していた会社から内定通知が来るなど、さまざまな事情で入社を辞退せざるを得ないときがあります。そんな状況になったら、どんな行動をとりますか?

新卒の就職活動の世界では、「人事担当者に会って入社辞退を伝えた瞬間にコーヒーをぶっかけられた」とか、「ある部屋に閉じこめられて、『翻意するまで帰さない』と言われた」「『今後キミの後輩は絶対に採用しない』と言われた」など、恐ろしい噂が流れることもあるようですが、現実にはそういうことは滅多にありません。実際にそんなことが起きようものなら、あっというまに悪評にさらされるネット時代です。

かといって、いい加減な対応をすると大変な事態に陥ることもあります。具体的にどんな行動をとればいいのかを考えてみましょう。
 
<目次>
 

人事が挙げる最悪な内定辞退の実例

知り合いの人事担当者やネットから、現実に経験した「礼儀知らずの内定辞退」のケースを集めました。
  • 入社日当日になって、時間通り出社してきた新入社員を皆に紹介しようとしたところ、「実は、今日は入社をお断りしようと来たんです」と言われた。
  • 入社当日になって出社しないので、自宅に電話をかけたところ、本人ではなく母親の口から「息子はおたくの会社ではやっていく自信がないと申しております」と言われた。
  • 内定後、「2、3日返事を待ってくれ」というので待っていたが、約束の日になっても連絡がないのでこちらから電話したときに断られた。

最後のケースはかなりの数にのぼっています。最近増えているのは、メールで入社辞退を伝え、それで済まそうとする人。しっかりと礼儀をわきまえた文面であればまだいいのですが、「一身上の都合により、入社を辞退させていただきます」程度しか書いていないメールが多い、ということです。
 

内定辞退はタイミングが大事!損害賠償もありえる?

不適切な入社辞退のために、大問題になることもあります。

■内定辞退が問題になった例1
ある土木工事施工会社に応募して内定をもらったAさん。入社の意欲も十分で、入社誓約書も提出したのですが、入社3日前になって心変わりし、電話で内定辞退を伝えました。すると、数日後にその会社から、採用経費として50万円の損害賠償を請求書されることになったのです!

この問題について専門家に問い合わせたところ、次の回答でした。

誓約書を提出した時点で雇用契約が成立していると考えられるので、会社も労働者も、勝手に内定を取り消したり入社を辞退したりすれば、契約に反することになります。

ただ、採用経費は会社が当然に負担すべきもので、民法の『退職を伝えてから2週間が経過すれば雇用契約は解除できる』との規定から見て、実際に会社が被った損害額は、Aさんが2週間勤務した場合に得られる利益相当額となると判断されます。入社後数日は研修なども行われますので、2週間程度ではそれほど大きな損害額にはならないはずです。

おそらく会社の対応は感情的なものでしょうから、請求額の具体的な内訳と計算の根拠を明らかにするように要求すれば、その段階で請求を取り下げることになるでしょう

■内定辞退が問題になった例2
入社予定者用に用意した借上住宅の敷金・礼金・前家賃を請求された、というケースもあります。

専門家は、「この場合は、あくまでもその人の申し出によって新しい住まいを用意したのであれば、請求に応じざるをえないのではないか」とのことでした。Uターン・Iターン転職では、入社予定の会社が住まいの確保をしてくれることも少なくありません。入社を辞退する場合には、十分気をつける必要があります。

賠償問題にまで発展しなくとも、1人が入社辞退することで新たに採用活動をやり直さなければならなくなった会社の損失は小さいものではありません。社内では、面接に立ち会って当人の採用を強く推した人(人事担当者・配属予定先責任者・役員等)の責任問題に発展する可能性もあるでしょう。
 

内定辞退の期限は?いつまでに断ればいい?

では、トラブルを避けるためには、いつまでに内定辞退の連絡をすればいいのでしょうか?たとえ入社予定の前日であっても、応募者の側から入社を取りやめることは自由です。憲法により、職業選択の自由が保障されているからです。

しかし、入社日が近づけば近づくほど、会社にとって内定辞退が痛手になることは前述した通り。言いにくいことなので、ついつい先延ばししたくなる気持ちはわかりますが、遅れるほど断りにくくなるのです。

内定をもらった時点で断れば、会社側もそれほどショックはありません。最終面接が終わった段階で自分の希望と照らし合わせれば、やっていけそうかどうかを判断できるはずです。内定通知が来るまでの間に自分の気持ちをしっかりと整理しましょう。

他にも応募している会社がある、などの事情で気持ちの整理がつかないまま内定を受けたときは、返事の保留をお願いし、期間中に結論を出すようにしましょう。
 

内定の断り方…まずは電話でお詫びの気持ちを伝える

内定の断り方には、電話・直接訪問・手紙・メールなどの方法があります。ここで真っ先に取りたい方法は「電話」です。電話よりも先に手紙やメールで伝えるのは、一方的すぎて適切ではありません。

また、直接訪問して謝るというのは「誠意を伝える」点では一番ですが、突然訪問は相手の仕事の妨げになり、面と向かった意思表示で相手の怒りを買うことにもなりかねません。

よって、まずは「電話」で内定辞退の意を伝えましょう。その上で「直接訪問してご説明させてください」と言えば、「そこまでしなくても」とその場で済むこともありますし、お互いに負担のない日時を調整することもできるでしょう。

実際には電話で済むケースが大半ですが、その場合でも、改めて手紙をしたためるくらいの気配りは見せたいものですね。
 

入社辞退のメール・手紙の文例

前略

先日は、ご多忙のところ、内定のご連絡を頂きありがとうございました。人事ご担当の○○様を始め、ご関係みな皆さまの誠意あふれる対応に、たいへん感謝しております。

しかしながら、先にお電話でもお伝えしたとおり、やむを得ない事情があり、入社を辞退させて頂きたいと存じます。御社には多大なご迷惑をおかけこと、本当に申し訳ありません。

本来なら、直接お目にかかってお詫び申し上げなければならないところ、このような形でお詫び申し上げることになりましたことをお許し頂きたく存じます。

末尾ながら、御社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

草々
 

呼び出し・引き止めにあった場合はひたすら低姿勢で

電話での話し合いで「とにかくどういうことなのか、直接来社して説明してほしい」ということになったら、訪問するほかありません。この場では「なぜ辞退するのか」という具体的に理由を説明することが求められます。この場合、会社に対してマイナスのイメージを持っていたとしても、それをストレートに表現することは避けるべきです。
 
相手の人事担当者にすれば、内定辞退に加え、会社の内情を知らない外部者に非難めいたことを言われてよい気持ちがするはずもありません。

辞退の理由はあくまでも個人的な理由・事情で押し通すことです。「他にやりたい仕事が見つかった」「今の職場で環境が改善される見通しがついた」といった具合に、自分の側の問題であることを説明するとともに、ひたすら「申し訳ありません」と低姿勢を貫きます。ひとしきり文句を言われることもありますが、それは仕方がないと覚悟して臨みましょう。

絶対に言ってはダメなのは「御社でやれるかどうか自信がない」といった理由です。これをいうと「素質はあるんだから絶対大丈夫だ」「研修制度が充実しているから心配することはない」と、相手に説得材料を与えることになります。

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