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政府紙幣は日本経済の特効薬となるか?(2ページ目)

不況に苦しむ日本経済ですが、最近は政府紙幣を発行することが不況脱出への近道なのではないか、という声が出てきています。この政府紙幣とはどんなものなのでしょうか?

執筆者:鳥羽 賢

デメリットは無視できない

コイン
硬貨(貨幣)はもともと政府が発行している。
しかし政府紙幣を発行しても、いいことばかりがあるとは限りません。問題の1つは、発行によってインフレが進行する可能性が非常に高くなることです。先ほど「日本経済は1990年以降デフレにある……」とお話しましたが、政府紙幣の発行で起こるインフレがどの程度になるかはやってみないとわかりません。過度にインフレが進行すると、日本経済が混乱してしまうことになります。

もう1つは政府紙幣の発行の方法です。政府紙幣発行を提唱している東洋大の高橋洋一教授は、25兆円規模の発行を主張しています。実行する場合、どのように25兆円を流通させるのかが問題になります。お金持ちだけに偏って渡すような方法では、かえって日本国内の格差や貧富の差を拡大させてしまう結果になるでしょう。

世界の政府紙幣の例(1)-シンガポール

世界にはすでに政府紙幣を発行している国がいくつかありますので、ここでその例を紹介しましょう。まずはシンガポールです。

シンガポールは政府の一機関である金融管理局が、紙幣を発行しています。ただしシンガポールの場合は、日本のように中央銀行が紙幣を発行している状況で発行された政府紙幣ではありません。

シンガポールは国が小さいので、独立した中央銀行がありません。そこで金融管理局が政府機関でありながら、中央銀行の機能も持っています。これは政府紙幣といっても「中央銀行=政府」となっているので、日本が目指すものとは違う制度でしょう。

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