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ライブドア事件を理解する証券用語(2ページ目)

毎日のように報道されているライブドア事件、「専門用語が立て続けに飛び出して、良く分からな~い」というあなた。流れを追って用語解説をしましたので、どうぞ参考に。

執筆者:石原 敬子

株式交換で買収?

一万円札
株式交換と公表しておきながら、既に現金で買収していた?
それでは、今回の事件では、どんなウソが偽計取引や風説の流布の容疑にに該当したのでしょう。

・偽計取引、風説の流布の容疑は、ライブドアマーケティングが2004年10月にマネーライフ社を株式交換で買収すると公表したが、実はそうではなく、その前に、ライブドアが実質支配する投資事業組合を通じて、現金で既に買収していたのではないか。

・さらに、株式交換で渡すはずだった株式は、その後の株価上昇によって、その利益が実質ライブドアの手に入っていたのではないか。


また、捜査を進めて行くに従い、他の買収に関しても同様の容疑が浮上してきています。ところで、この「株式交換で買収する」って、どういう方法なのでしょうか。

【株式交換で買収とは?】

株式交換制度というのは、企業の合併・買収や持株会社の設立の時に、その名のとおり現金ではなく株券を交換すること。例えば買収の場合、買収される会社の全部の株式と親会社になる会社の株式を交換すると、買収された会社は親会社の100%完全子会社となる。通常、親会社は買収資金相当額の自社の株券を新しく発行して、現金の代わりに渡す。現金を使わないで買収できる他に、手続きが簡単というメリットもある。日本では、まだ商法改正をしてから日が浅く、米国ほど普及していないが、合法的な買収の方法。

この「株式交換による買収」という公表と異なり、実際は現金で買収していたという点が「偽計取引」「風説の流布」にあたるのではないかという疑いで、1月16日に捜査がスタートしたのです。

ところで、この交換するはずだったライブドアマーケティングの株券についても、次のような疑いが捜査の対象となっています。

株式分割ってナニ?

取引
株式分割後の株価上昇は投資家の人気しだい
・この交換するはずだったライブドアマーケティングの株券、実際はマネーライフ社には渡さずに、ライブドアが実質支配する投資事業組合が持っていたままで、その後の株価の値上がりによる利益を得たのではないか、という容疑

交換するはずだったライブドアマーケティングの株価が値上がりした理由として、株式分割、第3四半期の好業績の公表があります。この株式分割とは、どんなしくみなのでしょうか?

【株式分割とは?】

既に発行している株式を、さらに細かくすること。資本金全体は変わらないが、例えば1株の株式を2株に、10株に、というように、細切れにする。1株の株式を2株にした場合、1株の株券を持っていた株主は2株の株主となる。この時の株価は、理論上は半分になるため、この株主の持株総額は変わらないのだが、成長過程にある会社の株式分割は株式市場で投資家の人気を得ることが多く、理論株価以上の値をつけることが多い。

今回問題視されている2004年11月のマネーライフ社の株式分割に関しては、1株を100株に株式分割をするというものでした。1株を100株に分割するとなれば、理論上の株価は100分の1になるわけなので、新しく投資をしたいと思う人が集まりやすくなります。その結果、株価の上昇を招きます。その上、その頃に好業績の公表をしたため、さらに人気に拍車がかかったのです。ところが、この好業績の公表に関しても、株価吊り上げ目的で、利益の水増しがあったのではないかという容疑も捜査されています。

直後の株式市場の状況については、次のページで!
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