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世界恐慌、1929年と現在の違い(2)(2ページ目)

10月6日の週の株安によって、マスコミには「世界恐慌」という言葉が載るようになりました。本当に1929年以降のような恐慌になるのでしょうか?

執筆者:鳥羽 賢

公的資金注入は本当に効果があるのか?

国会議事堂
金融危機を解決するために、政治のリーダーシップが求められている。
G-7が発表した行動計画は以下です。

「 1.システム上の重要性を有する金融機関を支援し、その破綻を避けるため、断固たるアクションをとり、あらゆる利用可能な手段を活用をする。 
 2.信用市場および短期金融市場の機能を回復し、銀行およびその他の金融機関が流動性と資金調達に広範なアクセスを有していることを確保するため、すべての必要な手段を講じる。 
 3.銀行やその他の主要な金融仲介機関が、信認を再構築し、家計や企業への貸し出しを継続することを可能にするに十分な量で、必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により、資本を増強することができるよう確保する。 
 4.預金者がその預金の安全に対する信認を引き続き保つことができるよう、各国それぞれの預金保険・保証プログラムが頑健であり、一貫していることを確保する。 
 5.必要に応じ、モーゲージその他の証券化商品の流通市場を再開させるための行動をとる。資産の正確な評価と透明性の高い開示および質の高い会計基準の一貫した実施が必要である。」
(ロイター)

今回の混乱が始まってからずっと議論されていた政策に、アメリカ政府による金融機関への公的資金注入があります。それはこの行動計画にも盛り込まれています。公的資金を注入するとは、つまり対象の企業を半国有化するようなものです。国有化することによって、その金融機関を「潰さない」という政府の姿勢を示して安心感を与えることができます。

すでに世界の主要国は、金融機関に対する公的資金注入を次々に発表しています。アメリカでも、9月に政府系住宅金融会社のファニーメイとフレディマックへ、それぞれ1000億ドル(約10兆円)ずつ、計2000億ドル(約20兆円)の公的資金注入を発表しました。

それともう1つ大事な役割として、金融機関に資本を与えて貸し渋りを避けることがあります。日本は90年代初頭のバブル崩壊以後、金融機関の貸し渋りのために、経済活動が長く停滞してきました。公的資金投入によって、それを避け企業が融資を受けやすいようにするためです。公的資金投入が全ての解決になるわけではありませんが、一定の意味があるのは間違いないでしょう。

最後には国際協調がものを言うか?

1929年と現在で違う点は、過去からいろいろ学ぶことによって経済学が発達している点と、1929年の大恐慌や、日本の不動産バブル崩壊に学べることです。今回のサブプライムによる不況は、規模は全く違うとはいえ、日本の不動産バブル崩壊とよく似ています。

マスコミではすでに「世界恐慌」という文字が躍っていますが、まだその言葉を使うには早いでしょう。単なる「不況」で終わるか、あるいは「世界恐慌」まで言ってしまうのか、今後の世界各国政府の対応にかかっています。

参考サイト

ロイター(2008/10/11)


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