前回の記事では、1929年の世界恐慌について検証しました。前回の記事を書いてから数日の間に、さらに状況は悪化していますが、現在2008年で「恐慌」がありうるのか考えてみます。

【CONTENTS】
経済学、経済政策が未熟だった1929年とは違う(1P目)
相争う世界と協調の世界(1P目)
公的資金注入は本当に効果があるのか?(2P目)
最後には国際協調がものを言うか?(2P目)

経済学、経済政策が未熟だった1929年とは違う

お札"
経済学は、理論によって世の中のお金の流れを解明しようとする学問だが……
現在2008年の世界は、1929年とは大きく異なっています。違いの1つは、当時よりも経済学や経済政策が大きく発達しているという点です。世界の近代型資本主義経済は、産業革命が終わって18~19世紀頃に確立したと言えるでしょう。

そしてそれから1929年まで1世紀程度しか過ぎていません。当時はインターネットなどで知識の世界的レベルでの共有もできませんでしたし、世界各国の経済をじっくりと研究をする環境もなかなか整っていませんでした。そのために、当時の経済学や各国の経済政策のレベルは、現在に比べてまだまだ未熟であったと思われます。

しかし現在は、状況が大きく変わっています。世界はテレビや新聞によって情報が自由に駆け回り、インターネットで世界中の人が自由にコミュニケーションできるようになっています。この世界では、学者や政治家だけではなく、普通の人々も経済についていくらでも勉強ができ、世界で何が起こっているかリアルタイムで知ることができます。

つまり、「経済の危機に対応する体制・能力」が、1929年当時とは全く違うレベルにあるということです。それを活かせば、恐慌を回避できる可能性が見えてくるかもしれません。

相争う世界と協調の世界

1929年当時は、各国はバラバラに恐慌に対応していました。各国の恐慌への対応は、前回の記事に書いてあります。もともと当時はソ連邦という共産主義国家が出現したばかりで、世界は自由主義と共産主義の2つに大きく分かれていました。

それに加えて、直前にあった第一次世界大戦のために、列強の間にはまだ緊張が残っていました。そのために、各国は協調をせずに、それぞれが自国の利益だけを考えて、恐慌に対応していったのです。

しかし現在は共産主義もなくなり、世界は協調が基本になっています。もちろん、一部の国は国際社会に加わらずに、厭世的な姿勢を貫いています。しかし日本やアメリカなど先進各国は、G-7サミットに象徴されるように、協力して世界を発展させていく姿勢でいます。

効果があまりなかったとはいえ、10月8月にあったアメリカやEUなど6中央銀行の協調緊急利下げや、週末に行われているG-7財務相・中央銀行総裁会議は、そのような国際協調の姿勢をよく示しています。