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ライブドアとフジ・ニッポン放送問題の行方(3ページ目)

経済界を震わせ、ワイドショーを賑わせ、社会現象となったニッポン放送問題。結局は旧態依然とした結末とも言えますが、誰が儲けて、誰が損をしたのでしょうか?

執筆者:石原 敬子

フジテレビの余分な出費、抱えたリスク

今回、一番疲れたのはフジテレビでしょう。金銭面でも出費がかさみ、将来のリターンが読めずにいるのが現状です。
和解案では、ニッポン放送の子会社化を優先し、ライブドアに損をさせないことで出費が膨らみました。
ライブドアに出資した額が440億円、これが損か得かに関しては、今後のライブドアの収益しだいということになります。

また、フジテレビ本体が買収されることを防ぐために、配当を増やすことにしましたから、配当金として100億円の出費がかさんでいます。

フジテレビの株主は配当が増える

フジテレビが配当を増やして喜ぶのは、フジテレビの株主ですね。
2005年3月末の期末配当を、当初予想の1株あたり600円から4,400円に大幅に増やすことにしました。これによってフジテレビの株主は、年間配当としては当初予想の1株1,200円から5,000円となります。

配当が増えるのなら、株式を売ってくれと頼まれても、売りたくないですよね。ですから、買収防止になるのです。

ニッポン放送は冷や冷やしただけ?

ニッポン放送は、フジサンケイグループに残留が決まりました。これに関しては、経営陣、従業員の望みどおりに収まっています。冷や冷やした分はマイナスでしたが、損でも得でもないでしょう。

ニッポン放送の株主は上場廃止を覚悟

ニッポン放送の株主にとっては、この合意は一大事です。今後、フジテレビがニッポン放送の株式を100%取得することになりますので、上場廃止となります。フジテレビによる買取価格がいくらになるのかは時価に準ずるところでしょうから公平な価格ですが、今までのように証券取引所で流通しなくなります。
会議
戦略面では経営者よりも上手がいたようで…


外野の儲け

【リーマン・ブラザーズ】
今回の問題で、一番オイシイ思いをしたのがリーマン・ブラザーズ証券でしょう。
・社債の引受手数料
・転換社債型新株予約権付社債(MSCB)による利益
MSCBをライブドア株に転換して市場価格よりも10%程度低い価格でライブドア株に転換できるため、転換後すぐ売却すれば損をしない仕組みになっています。

一部報道では、リーマンは最終的に100億円以上の利益を出した模様と伝えられています。

【ソフトバンク・インベストメント】
メディア事業に投資する新しいファンドを設立、フジテレビなどから180億円の資金を集めました。
救いの手を差し伸べたかに見えますが、しっかり、ビジネスチャンスを広げて本業による商売をしています。

【村上ファンド=M&Aコンサルティング】
経済産業省OBの村上世彰(よしあき)氏が率いる投資顧問会社です。堀江社長と同じことを既に2003年6月に考え、割安な水準でニッポン放送を手に入れて、大半を大幅に上回る価格で2005年2月中に売却しています。大幅な利ざやを稼いだとみられています。

このように、それぞれの立場で見ると、外野が一番儲かったように見える、ニッポン放送問題。企業の買収に関して、日本の企業経営者がいかに無知かということを思い知らされた一件だったと言えるのではないでしょうか。
それにしても、いろいろな面で、国民に広く資本主義経済のナマの動きを学ばせてくれた出来事でした。

【関連サイト】
フジの対抗策、TOBとは?
増資とは?融資とどう違う
村上氏とニッポン放送の抗争(All About「株」ガイドサイト)

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