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【ライブドアとフジテレビ vol.2】 村上氏とニッポン放送の抗争

今注目を集めているニッポン放送とライブドア。しかし、その昔ニッポン放送はライブドアとの前哨戦とも言うべき抗争を繰り広げていたのです。

執筆者:保畑 公志

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こんにちは、保畑です。


依然として世間の話題を独り占めしている感のある「ライブドアvsフジテレビ」ですが、今回は前回の予告どおり、にわかに注目を集めている「村上世彰氏が率いるM&Aコンサルティング(以下MAC)」とニッポン放送について紹介したいと思います。

ライブドアの株価をチェック
ニッポン放送の株価をチェック
フジテレビの株価をチェック

と、その前にまず村上氏のおさらいをしておきましょうか。

村上氏の設立した会社MACは通称「村上ファンド」という名称でも知られています。同社の運用するファンドは現在約500億円で、村上氏は株式を取得した企業に積極的に経営提案する「モノ申す株主」を強くアピールしています。そのため、主に同社のターゲットになるのが株数を容易に獲得できる比較的小さい企業(株価の安い企業)で、現金や有価証券を多く保有する好財務企業が中心です。

ニッポン放送との関係は

そもそもMACがニッポン放送の大株主として登場したのは2003年7月。当時7%の株主(当時は第2位の持ち株比率でした。)として大量保有報告書に記載されました。

フジテレビは「ニッポン放送と文化放送が共同出資して設立されたテレビ局」というのは皆さんもご存知ですよね。ラジオ会社2社が共同で資金を出して設立した会社です。ですから、フジテレビの筆頭株主は今も「ニッポン放送」。このような状況ですから実際に両社は親子関係にあります。フジテレビなどからの利益が本業のもうけを上回るうえ、時価総額でも水をあけられる「親子逆転」状態。事実上は「小さい親が大きい子供を支配している」という歪な構造なのです。

村上氏はこうした矛盾点を利用しよう「ニッポン放送」に目をつけました。その後、村上氏はニッポン放送株を買い続け、筆頭株主に躍り出ます。そして、ここでも「モノ申す株主」としてニッポン放送に様々な要求をします。そしてその代表的なものが「フジサンケイグループの持ち株会社化」です。持ち株会社化すれば、フジテレビ株の含み益がニッポン放送の株価に反映されるはずという視点からです。 そして、ニッポン放送側もその要求を受けて、持ち株会社化を検討する旨の会見を行いました。

しかし、この当たりからニッポン放送とMACとの泥沼のつばぜり合いが始まります。

2004年5月、再び村上氏はニッポン放送に対して新たな要求をぶつけます。筆頭株主として、村上氏自らを含めた3人を社外取締役に迎えろという要求です。しかし、この提案はさすがにおとなしく飲める提案ではありません。数日後、ニッポン放送側は新たな対抗策を打ち出します。

ついに泥沼化

それを受けた対抗策として、ニッポン放送は独自の社外取締役候補を発表しMACと全面対決の姿勢を表します。ニッポン放送が発表した独自の社外取締役候補は、みずほ信託銀行の衛藤博啓社長と久保利英明弁護士、ジャーナリストの野中ともよ氏の三人。「企業のコンプライアンス(法令順守)に強い候補者を選んだ」という。株主総会に提案する。

こうなると、泥沼です。しかし、これはただの子供の喧嘩ではありません。大人の事情での深い確執があったんです。簡単に言うと、村上代表が、株主提案に動いた背景にはニッポン放送側へのいら立ちがあったんです。

報道によると、ニッポン放送とフジテレビが発表した内容に村上氏は激怒したそうです。この日、ニッポン放送とフジテレビは番組制作能力を高めるため東京・江東区に新スタジオを共同で建設することを発表しました。フジテレビが400億円、ニッポン放送が180億円出資し、2007年3月までに地上8階建てのスタジオを建設するというもの。

 村上代表が問題にしたのはスタジオ建設目的でニッポン放送がフジテレビジョン株六万株を売り出したこと。ニッポン放送にとって、儲け頭で優良企業であるフジテレビ株売却は株主の利益に反するというわけです。「株式売却に伴う約110億円の税金を払ってまでスタジオ建設に投資する必要があるのか」と疑問をぶつける。これは明らかに株主をないがしろにした資金計画です。全く株主不在の決定といわざるを得ません。


その後、村上氏は同社関係者3人を社外取締役として派遣するという株主提案を撤回すると発表しました。資本政策について議論する「資本政策懇話会(仮称)」などを設置して欲しいという 村上氏の要望に対して、ニッポン放送側が前向きに議論する方向にあると判断したためだそうです。


その後、村上氏はニッポン放送に対して攻勢をかけませんでしたが、これら一連のニッポン放送とのやり取りが、今回のライブドア対ニッポン放送の複線になっていることは疑うことのない事実でしょう。

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