落語から学ぶ話術!話し方が上手くなりたいと思うのは、誰でも同じ
落語から学ぶ上手い話し方とは?
師匠の真似ばかりで自分らしい落語を見つけられない三つ葉役を国分太一さんが演じます。師匠が講師を務める話し方教室で無愛想だが美しい女性と出会う。そこで三つ葉は変わることができるか?映画『しゃべれども しゃべれども』配給:アスミックエース |
話し方が上手くなりたい理由は人それぞれですが、「話し方がうまくなりたい!」そう望む人は本当に多いですね。かくいう私もそうです。
映画「しゃべれども しゃべれども」でも注目された落語家。彼らはその話術を伝統芸能にまで高めた話し方のプロ。大勢の落語家が出演するテレビ番組「笑点」は長寿番組で、今だに長く人々に愛され続けている、文句なしの人気者です。
彼らは寄席といわれるステージで、特別な音響や、舞台装置、衣装や道具、音曲などを極力使わず、身振りと語りのみで多くのお客さんの前で堂々と話します。
彼らはジェスチャーの達人でもあります。扇子を筆、キセル、手紙、提灯に。手ぬぐいを財布や証文、煙草入れ、本などに見立てたりします。
長年の伝統と修行によって「うまい話し方」の集大成として磨き上げられ、芸術の域にまで高められたものが落語です。落語には「古典落語」という古くから語り継がれているネタがあります。落語のすごいところは観客は、ストーリーも落ちも知っているのに、それでも人の心を引きつけ、笑いを取れるところです。「話し方」を学ぶには話のプロである落語家さんの技術のマネをしてみるのが有効です。
さあ、落語家さんを観察してみましょう。落語界の人々が使っている人心掌握術とは?次ページでは、その秘密に迫ります。
独特の「間」を掴もう
寄席に行くと、前座と呼ばれる新人から芸の披露が始まり、最後は名人である真打が登場します。新人の前座は、まだまだ技術が身についておらず、話しに抑揚がなく、全く「間」がありません。立て板に水を流すように話が流れて行き、どこが山場だったのかもよくわからず、気が付けば終わっていた、という印象を受けることが多いです。
それに比べて、真打はやはる「間」の取り方がすばらしいのです。「落語は、うまい人ほど喋らない」といわれるほど、口数が少なく、沈黙が多くなります。しかし、この沈黙の数秒があるからこそ、客席の全員が聞き耳を立ててしまうのです。壇上に立つと、まずゆっくりと客席全体を見回して、絶妙なタイミングで客席にポッと言葉を投げかける……。そのポッの言葉が少しとぼけたような調子だったり、素朴な言葉だったり、変化や意外性に富んでいるので、聴衆を飽きさせることがないのです。
落語家は、話を人に聴かせるために、「聴く側の気持ち」や「心のうつろい」に敏感である必要があります。話の内容・展開・落しどころを考え、どこに聴く側の心が動かされるのかを感じ取ります。話しながらも聞く側の反応を、きちんと受け止めて演じているのです。
落語家それぞれの間の取り方によって同じ話なのに、全く違う印象を受けるのです。
話のテンポを意識する
落語家の立川談春氏が以前AMラジオで話していたのですが、「うまく話すには、お客さんに自分が伝えたい場面を画像がイメージできるように伝えるのが秘訣」だそうです。一番の山場では、たっぷり間を取るのが落語のテクニックですが、これは伝えたい場面を聞き手が画像としてイメージできるように伝える手法の代表的なもの。相手にイメージさせるための手法に、聴覚を刺激するという方法があります。頭の中で、ふさわしい音楽のリズムやテンポをイメージしながら話すこと。それだけでも使う言葉や、声の高さ、スピードが格段に変わっていきます。あなたの頭の中だけで流れている音楽を、相手に伝えられるようになったら、言葉だけのコミニケーションの枠を超えた深い共感を呼ぶことができます。
江戸時代から続く落語は、日本の文化を色濃く受け継いだ話術の集大成です。そこから学ぶものはとても多いのです。ボ~ッとしながらでも、とりあえず落語CDでも聞いてみませんか?きっと、数百年歴史を持つ伝統芸能が、あなたにしみこんでくることでしょう。
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