三十の手習い
▲品川本社オフィス内部 随所にくつろげる空間が用意されている |
それから専業主婦として家庭に入った秋山さんですが、会社員時代に比べれば格段に自由な時間が増えました。
「一旦ビジネスから離れ、そのときどういう自分が見れるか試したかったんです。学生時代から真面目を通してきて、社会人になってからも『やらなきゃ』という義務感から、優等生的な真面目さで仕事に取り組んできました。しかし、そこには疑問を感じていた部分もあったんです。そこから自分を解放したとき、自分がどうなるかとても興味がありました」
その自由な時間を今までやりたかっこと、会社員時代にやれなかったことに使いました。秋山さんの場合、それは日本の伝統芸能に向けられました。
「30歳を越えた自分のライフワークとして、日本の伝統文化を次の世代へ伝えたいと思っていました。それで興味の赴くまま茶道を始め、それに関連する焼き物や建築、和服などにも関心を持ちました。和服が好きになると、今度はそれを着て出かける場がほしくなり、歌舞伎の公演を見に行くことが増えました。すると文楽や義太夫にも興味が広がり、ついに義太夫のお稽古にも通うようになったのです」