キャリアプラン/キャリアプラン事例

オウケイウェイヴ兼元社長のライフマップ(2ページ目)

オウケイウェイヴ兼元社長は、グッドデザイン賞を取った気鋭のデザイナーでもある。だが、建設塗料会社に転職し、飛び込み営業をした泥臭いキャリアを持つ。

執筆者:角田 正隆

本社風景「空きのペットボトルをパーテーションとして使っている」
そのデザイン事務所は、製品や施設などのデザインに、この手法を応用していた。例えば公共施設などであれば、交流、機能、イベントといったキーワードを設定し、そのパネルに「来場者がくつろぐ姿」や「施設を快適に利用しているイメージ」を貼り付けてゆく。こうして出来上がったイメージをもとに、具体的な建物や施設をデザイン。大作を描く画家が、細かいスケッチを積み重ね、全体の構想と細部の描写を考える作業に似ている。

もちろんこの手法は、キャリアデザインにも応用できる。職種、役職、スキル、年収、上司、同僚、部下といったキーワードを設定し、それぞれに理想的なイメージをコラージュ。それを20年後、10年後、5年後という具合に作成し、その実現の道すじを考えるだけでも、将来のキャリア設計だといえる。

以前このコーナーで紹介したGMOインターネット熊谷正寿社長が、常に持ち歩くシステム手帳に、「広々とした社長室で執務する姿」「できるエグゼクティブが、部下にテキパキ指示する姿」などを貼り付け、自分のキャリア理想像を思い描いていたのを思い出す。


弁当箱から建物まで


この手法を使い、兼元さんは多くの製品をデザインする。手掛けたデザインは、ロゴマーク、化粧品のパッケージ、照明灯、バイクなど多種多彩。印象に残っているのは、有料道路の施設と弁当箱だという。施設は、職員が事務所から地下を通って料金所に向う際、必ず池の前を通るようにして心理的効果を狙った。弁当箱はフタに保温材を内蔵し、外であたたかい弁当を楽しめるようにした。

兼元さんが「何でもやれたので面白かった」と語っているように、これだけデザイナーとして腕を振るう場があれば、デザイナー冥利に尽きるとしか言いようがない。ところが兼元さんは、3年目の92年、なぜか「建設塗料会社」に転職する。


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