キャリアプラン/キャリアプラン事例

希望をつかむ「120%理論」 小室淑恵さん(3ページ目)

先日初出産を終えたワーク・ライフバランス小室淑恵社長のビジネス哲学、プレゼンテーション技術、「憤りリスト」という独自の困難克服法をご紹介します。

執筆者:角田 正隆

斬新な提案ほど「常識的」なプレゼンを心がけて!

プレゼンは「常識的」に


―――プレゼンと言えば、小室さんは資生堂のビジネスモデルコンテストのプレゼン大会で、103件の応募の中から見事グランプリに選ばれて、社内ベンチャーを起こした実績があります。そのとき気を付けたことは?

小室:第一に見た目が常識的であることですね。プレゼン内容が斬新なビジネスである場合は、服装を「常識的」にすることが大切です。服装や言葉、プレゼン資料のデザインなどが常識から逸脱したものだと、相手は、「今まで構築してきた安定した状態を壊されるのであれば受け入れたくない」、という心理的な「壁」ができてしまい、拒否反応が出てしまいます。

斬新な提案内容のときほど、見た目が常識的であることを心がけ、安心して聞いてもらうことが大切です。私の場合は、落ち着いた色のスーツに、パステルカラーのシャツを合わせますね。

気を付けるべき点といえば、プレゼンテーションの起承転結ですね。資料を作る際に、いきなりスライドから作り出すと、スライドのビジュアルに満足してしまい、肝心な「課題の共有→その解決方法→課題の解決された幸せな未来」という基本的な論理展開がないままにでき上がってしまいます。まずはパワーポイントの「ノート機能」(注)を使い、原稿をしっかり作ること。そこで起承転結を確認してからスライドの細かい作りこみに入ることで軸のぶれないプレゼンをすることができます。

(注)ノート機能・・・スライドの下にメモを入力する機能。スピーチ原稿を書くときなどに重宝する

100人に取材した事前準備


―――その他プレゼンでこだわったことは?

小室:特にこだわったのは事前リサーチでした。『wiwiw』は、育児休業者がスムーズに職場復帰するためのサポートシステムなのですが、当時の私は結婚もしていなければ子供もいない。育児休業の話をしても説得力が足りないと考え、土日を使って100人以上の育児休業経験者を訪ね、徹底的にヒアリングしました。

「生の声」を企画に反映したことで説得力が増し、厳しい質問をされても根拠を示しながら回答できました。育児中で外出が難しい方へのヒアリングなので、炎天下の中、遠いところでも自宅まで出かけていったのを覚えています。ほとんどライフワークでしたね。

「復帰の難しさから、子供を産んだことを最近ネガティブに捉えている自分がいて、つらい」「休業中の会社の動き、社会の動きがもっと知りたい、浦島太郎にならないように自分を向上させたい」など、100人以上にヒアリングして得た、育児休業者の課題を解決しようと思って考えたプランですから、プレゼン後の厳しい質疑応答に対しても実感を持って根拠を示すことができました。

それに対して役員には「これだけの根拠を即座に回答できるあなたは、このビジネスに非常に情熱を持って取り組んでいるんですね、ぜひ頑張りなさい」「資生堂のビジネス領域を飛び越えるような斬新な提案を評価したい」という声を頂きました。


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