妥協するな!
▲うまくいかないときは、やはりどこかで妥協している |
「思い」だけで生き残れるほど、ブランドビジネスは甘くない。日本で最も有名なブランドの1つ、ルイ・ヴィトンは1830年代に誕生し、フランス王家に愛されてきた長い伝統を持つ。他のブランドもヨーロッパの歴史とともに歩んできた歴史をブランド価値の1つとしている。
約10年前に生まれた『サマンサタバサ』にそういった歴史はないが、これほどの成功を収めた要因を寺田氏は、「何をすべきか多くのアイデアを考え、それを実行していったこと。そして決して妥協しなかったこと」と分析している。特に「妥協しないこと」は、寺田氏が常に強調していることだ。
「うまくいかないときは、やはりどこかで妥協しています。うまくいっているときは、一切妥協していないし、さらに何かやってやろうとしているんです」
どんなブランドも最初は簡単に売れるものではないが、寺田氏は立ち上げ当初から「サマンサは世界ブランドになる!」と宣言していた。そのための策を着実に実行し続け、取引先に「寺田の言っていることは、本当にやるかもしれない」と感じさせた。そうして新興のブランドながら、百貨店の入口付近などの「一等地」を手に入れた。
「例えば『4000万円売れた』というのはあくまで結果。そこでもっといい結果を残せると判断して、いい宣伝を行ったにもかかわらず、3000万円しか売れなかったとしても、それも結果に過ぎないと思います。むしろ『やる』といいながら、実際にやっていることが違うほうが危険です」
『サマンサタバサ』といえば、ヒルトン姉妹、ヴィクトリア・ベッカム夫人、マリア・シャラポアといった海外有名セレブをモデルやデザイナーとして起用する、ド派手なプロモーション戦略で世の中に大きなインパクトを与えてきた。そのギャランティーも決して安くはないはずだが、徹底的にプロモーションを追及して、消費者の視線を釘付けにしているのだから、「世界ブランドを目指す」という寺田氏の言葉に1つのくもりも感じられない。
信頼を重んじる金融界には、「My word is my bond」という言葉がある。直訳すれば「私の言葉は私の発行した債券」。支払いが滞ったら即倒産に直結する債券のように、自分の言葉に相当の「覚悟」を持っているという意味である。寺田氏の生き方はまさに、この言葉を体現しているような気がする。
▼関連リンク
・参考記事「妥協を許さない『本物』になれ」
・サマンサタバサジャパンリミテッド
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