キャリアプラン/キャリアプラン事例

妥協しない男・サマンサタバサ寺田和正社長(2ページ目)

若い女性の支持を集める『サマンサタバサ』。同社社長寺田和正氏がブランドビジネスに出会い成功を収めた道すじから、キャリアプランの拠りどころになる「軸」の定め方を学びたい。

執筆者:角田 正隆

仕事にプライドを持て

多くの女性社員が活躍している

子供の頃から独立を目指していた寺田氏は、「きちんとしたビジネスを学ぶため」ある中堅商社に入社している。何百人もの同期がいる大手商社と異なり、実力次第でチャンスが得られる環境であり、学生時代カナダ留学を経験していた寺田氏は、入社半年で早くも海外出張を経験することができた。

「入社半年で欧州8カ国を8泊10日で回り、最近発注のない取引先を訪問することになりました。『話はいいから、とりあえず食事に行こう』とはぐらかす相手がいても、すかさず『食事は結構ですから、受注の話をしませんか』と切り替えした(笑)。海外に出してくれた会社に、結果で報いたいと思っていたのです」

入社数年目の社員ならともかく、入社半年で「会社を代表している」という意識を持った新人も珍しい。独立志向が強い人の中には、会社への貢献がおろそかになる人もいる。そこでベストを尽すところに、寺田氏らしいこだわりを感じる。

実際、寺田氏の周囲には独立を目指す人が多かった。しかし彼らは「どうせ将来独立するから」といって仕事に没頭していなかった。「無名の中堅商社だから」、「大手に比べて給料が安い」と、堂々と仕事に向き合わない同僚もいた。サラリーマンの現実を目にした寺田氏は、「プライドを持って仕事をしてもらうにはどうすればよいか」、頭の片隅で考えるようになる。


相手の喜ぶ姿がすべて


営業手法にも強いこだわりがあった。約2年半の営業経験で寺田氏は、決してお客様に押し売りしなかったという。

「ニーズがないものを売ろうとしても売れません。第一に相手に喜んで頂くことが大切なのです。こうしたほうが相手のためになる、と心の底から思って営業してきました。本当にそう思えば自然と相手のことを調べるし、何をすれば相手のプラスになるか、真剣に考えるようになるんです」

その手法で成功を収めた寺田氏は、「相手を喜ばせること」をビジネスの原則とする。

世の中に数え切れないほどのビジネスがある中で、「相手を喜ばせ」かつ「プライドを満たす」仕事は少ない。寺田氏が始めるべくして始めたのが、ブランドビジネスであり『サマンサタバサ』だったのかもしれない。


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