仕事にプライドを持て
▲多くの女性社員が活躍している |
子供の頃から独立を目指していた寺田氏は、「きちんとしたビジネスを学ぶため」ある中堅商社に入社している。何百人もの同期がいる大手商社と異なり、実力次第でチャンスが得られる環境であり、学生時代カナダ留学を経験していた寺田氏は、入社半年で早くも海外出張を経験することができた。
「入社半年で欧州8カ国を8泊10日で回り、最近発注のない取引先を訪問することになりました。『話はいいから、とりあえず食事に行こう』とはぐらかす相手がいても、すかさず『食事は結構ですから、受注の話をしませんか』と切り替えした(笑)。海外に出してくれた会社に、結果で報いたいと思っていたのです」
入社数年目の社員ならともかく、入社半年で「会社を代表している」という意識を持った新人も珍しい。独立志向が強い人の中には、会社への貢献がおろそかになる人もいる。そこでベストを尽すところに、寺田氏らしいこだわりを感じる。
実際、寺田氏の周囲には独立を目指す人が多かった。しかし彼らは「どうせ将来独立するから」といって仕事に没頭していなかった。「無名の中堅商社だから」、「大手に比べて給料が安い」と、堂々と仕事に向き合わない同僚もいた。サラリーマンの現実を目にした寺田氏は、「プライドを持って仕事をしてもらうにはどうすればよいか」、頭の片隅で考えるようになる。
相手の喜ぶ姿がすべて
営業手法にも強いこだわりがあった。約2年半の営業経験で寺田氏は、決してお客様に押し売りしなかったという。
「ニーズがないものを売ろうとしても売れません。第一に相手に喜んで頂くことが大切なのです。こうしたほうが相手のためになる、と心の底から思って営業してきました。本当にそう思えば自然と相手のことを調べるし、何をすれば相手のプラスになるか、真剣に考えるようになるんです」
その手法で成功を収めた寺田氏は、「相手を喜ばせること」をビジネスの原則とする。
世の中に数え切れないほどのビジネスがある中で、「相手を喜ばせ」かつ「プライドを満たす」仕事は少ない。寺田氏が始めるべくして始めたのが、ブランドビジネスであり『サマンサタバサ』だったのかもしれない。