▲試作品第1号を懐かしそうに見つめる |
「何よりもまず行動ではないでしょうか。机の前で考えていると、次々とマイナス要素だけが出てきます」
行動を阻むものはアイデアを否定するネガティブな発想だ。「最初の試作品を作ってからの2年間は作っては壊しの繰り返しでした」。会社員を続けながら自宅の一室で、1人試作品の製作を続けた吉田氏は、ネガティブな思考に陥らないような工夫を施していた。
「影響を受けやすいタイプなので、特に人にアドバイスを求めませんでした。特に技術の勉強もしなかったし、現在もしていないのですが、勉強をするとできない理由が増えてしまう気がします」
「会社を作るため会社を退職した後、アルバイトを3つも掛け持ちしました。それは会社経営や飲食業の知識を得る目的もありましたが、時間が空いてしまうと余計なことを考えてしまうと思ったからです」
キャリアに悩んだとき、家族や友人に相談する人が多い。ところが、そのアドバイスは「止めておいたほうがいい」というものになりがち。事情を100%知らない本人以外の人間は、どうしても「無難な」アドバイスに終始することになる。
証明して見せる
ガイドが今回吉田氏を取材して、最も特筆すべきと思ったのが、「技術力」「資金力」「経営力」「信用力」など、スタート時点では1つのスキル・経営資源も持ち合わせていなかったのにもかからず、見事、研究開発型のメーカーを立ち上げ、順調に事業を拡大させていることだ。インターネットなどサービス関連での起業が増えているが、メーカーを起業し成功させるのはかなりの難易度の高い仕事だと思う。
こうした吉田氏のキャリアから、異業種や異職種へのキャリアチェンジを成功させるヒントを得たい。
「確かに未経験者の転職は、難しいことだと思います。しかし、何か自分の能力を証明することができれば、道は開けるのではないでしょうか。事前に直接その仕事を経験することはできませんが、会社ではなくても何か関連する経験を積むことはできるはず。本を読むよりも実践することが大切だと思う」