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トップセールス列伝4 エムアウト社長(3ページ目)

エムアウト田口弘社長(元ミスミ社長)は、泥臭い営業を苦手としていた。そんな田口氏がどうやって年商550億円の商社を作り上げたか?

執筆者:角田 正隆

マーケットアウトの実践法

エムアウト 代表取締役社長 田口 弘氏
「営業はコンテンツで勝負せよ」

競争に巻き込まれない商品があれば、売り込む営業力がなくても、顧客は選んでくれる。しかし、そうした権限のない現場の営業担当者は、いかに田口氏の言う「マーケットアウト」を実践すればよいか。

「ミスミ時代は、営業力で売るのではなく、コンテンツで勝負するよう担当者に言い続けてきました。まずはコンテンツを開発するために、お客さんのところに足繁く通い、なぜお客さんが困っているのか、その情報を集めに行くことが大切だと思います。だからお客様には『ミスミは営業に来ても売り込もうとしない。ただ根掘り葉掘り聞き出そうとするだけだ』と珍しがられました」

必死に売ろう売ろうとするあまり、営業トークやプレゼンテーションの技法に気を取られ、相手のニーズなど忘れてしまいがちだ。だが冷静になってお客様の声に耳を傾けることも大切ではないか。


時価総額1000億円を生むコンセプト


そしてこのマーケットアウトのコンセプトは、企業経営、特にベンチャー企業の経営においても、大いに活用されるべき考え方だという。

「経営者になるために営業力は不要だと思います。むしろ営業力がある人は、ベンチャー企業の経営者に向いていないかもしれません。本当のベンチャービジネスとは既存のビジネスを根本から変えてしまうものです。営業力がある人がビジネスを始めると、既存のビジネスを一生懸命やろうとするあまり、スモールビジネスで終わってしまいがち。年商3億円程度が成功とするのなら、それでも構いませんが株式時価総額1000億円以上の東証1部上場企業を目指すのであれば、やり方を根本から改めなくてはなりません。営業トークなどの小手先のテクニックを磨くのは、むしろマイナスかもしれません」

確かに勝者は過去の成功パターンに固執し、それを上回るものを生み出せない傾向がある。かつて地上の王者と呼ばれた恐竜のように、環境が変わったとたん一転して滅んでしまうことにもなりかねない。経営者は営業出身者が多いと言われてきたが、その流れも今後変わってゆくのかもしれない。


もっと自己主張せよ


最後に読者であるビジネスパーソンへ、メッセージをまとめてもらった。

「これからの時代、誰もが『ビジネスはこうあるべき』といった自分独自の主張を持つべきだと思います。それを徹底することによって、私が『マーケットアウト』などを生み出したように、新たなビジネスコンセプトが生まるのです」

年俸制・成果主義など、ビジネスパーソンもプロスポーツ選手と同等に処遇される時代になった。処遇のルールは会社が決めてきたが、精神面ではイチローやナカタのように、個人サイドがもっと主張すべきではないだろうか?


関連リンク
・参考記事 「先生」みたいな社長
トップセールス列伝Vol.1
トップセールス列伝Vol.2
トップセールス列伝Vol.3

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