▲エムアウト 代表取締役社長 田口 弘氏 1937年生まれ。59年大竹農機(現大竹製作所)入社。63年三住商事(現ミスミ)設立に参画。69年同社社長就任。94年東証2部上場、98年東証1部上場を果たす。「購買代理店」「マーケットアウト」など斬新な経営コンセプトを打ち出し、ミスミを年商550億円の商社に育てた。2002年、起業専業企業エムアウト設立、代表取締役社長就任。著書に『隠すな!』などがある。参考記事『「先生」みたいな社長』 |
ミスミは商社でありながら、商品を売る営業担当者はゼロといったユニークな営業手法で知られている。担当者が顧客を訪ねても一切売り込まず、ただ顧客の要望に耳を傾けるだけ。こうした営業スタイルが生み出されたのは、田口社長自身、営業が苦手だったからだ。この“消極的”営業スタイルを生んだ、田口氏のキャリアを探った。
ウエットな人間関係が苦手
▲現代アートのインターネット通販サイト「@GALLERY TAGBORT」。不透明な絵画ビジネスに切り込んでいる。 |
その後、友人に誘われ三住商事(現ミスミ)立ち上げに参画した田口氏は、中小工場相手にベアリングを販売する仕事に携わるようになる。ところがこの仕事も農機具の販売に似ているところがあった。
どこの会社でも取り扱っているベアリングは、工場の責任者などと酒を酌み交わすなどして、人間関係を構築するといった営業力が必要とされた。田口氏は苦戦を強いられることになる。