キャリアプラン/キャリアプラン事例

儲けようとするな、社会に貢献せよ!(2ページ目)

“人材派遣の父”パソナ南部靖之代表。「儲けようとするな、社会に貢献せよ!」と訴える。次々と前例のないビジネスを生み出す、豊かな発想力の源とは?

執筆者:角田 正隆

儲けようとするな、社会に貢献せよ!

社会に貢献せよ!
売り上げ・利益より、社会貢献にこだわってきた。参考記事『ベストセラーよりロングセラー
南部さんは「ベンチャーの旗手」として、これまで数多くのメディアに取り上げられてきた人物。今回ガイドが取材したのは、事業に対する考え方・哲学に、今なお新しさを感じたからです。

中でも特に感じ入ったのが、金儲けよりも「社会貢献」を追求する姿勢です。社是や社訓に「社会貢献」を掲げる企業は数多く存在します。しかし、本気でそれに取り組む企業は、ごくわずかではないでしょうか。以下、3点ほど事例をご紹介します。

神戸復興に挑戦
神戸出身の南部さんは、95年に阪神大震災が起きると、活動拠点としていたアメリカから急きょ神戸に帰郷。震災で職を失った人に職場を提供すべく、商業施設「神戸ハーバー・サーカス」などを立ち上げました。

パソナといえば人材派遣。本業から離れた商業施設というビジネスは、唐突な印象を受けますが、南部さんはそれにこだわりません。震災でダメージを受けた神戸経済には、「雇用の創造」が必要と判断。人材派遣業ではなく商業で神戸復興に取り組みました。

海外ブランド品を適正価格で提供
パソナオーツー
東京・大手町パソナ本社地下にある農園「パソナオーツー」 オープン時間中は、誰でも中を見学できる 

「社会貢献」という旗印なくして、南部さんが手掛けてきた仕事は説明できません。かつて、日本で海外ブランド品を購入しようとすると、かなり割高な価格で買うしかありませんでした。ところが今では「並行輸入品」によって、本国と大差ない値段で購入できるようになっています。

その突破口を開いたのが南部さんです。ブランド品並行輸入店「デザイナーズコレチオーネジャパン」を銀座などにオープン。規制行政と戦いながら日本の消費者に、適正価格でブランド品を提供しました。「日本の消費者がブランド品を、割高に買わされるのはおかしい」という義憤が、ブランド品にそれほど興味がなかった南部さんを、新規事業に立ち向かわせたのです。

金融街に現れた「農場」!?
2005年2月、東京・大手町本社の地下に「農場」をオープンしました。「パソナオーツー」と呼ぶこの施設は、人工照明と土耕・水栽培設備を整え、未来の農業のあり方を提案しています。それも高齢化・後継者不足に悩む農業を復興させ、新たな雇用の場を創造するためというのです。

>ベストセラー vs ロングセラー

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