A氏の成長エピソード
▲「A君、これチェックしておいて!」。このひと言がA君を開眼させる。 |
簡単に「チェック作業」といっても、単に目を通すレベルの仕事ではない。いきなり「石版に刻まれた象形文字を読め」と命じているようなもので、金融理論や数学的な計算式を理解していなければ、チェックすらできない代物である。
しかしA氏は諦めず、しぶとくチェックを試みる。空いた時間と夜はシートとにらめっこする毎日が続いた。
そして1カ月後、A氏は松本氏のところにやってくる。ついに「ギブアップ」を申し出るかと思いきや―――。
▲『10億円を捨てた男の仕事術』松本大著 |
松本氏が再度調べてみると、やはりA氏の言うとおり、その箇所は間違っていた。
A氏はシートの解読によって、難解なデリバティブの真髄を会得することとなった。この経験以降、A氏はデリバティブ取引のプロとしてメキメキと頭角を現し、現在は金融機関の幹部として大活躍しているという。