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ビジネスパーソンを襲う、危機からの脱出法

倒産、破たん、リストラ、左遷―――。ビジネスパーソンは“想定外”のあらゆるリスクに囲まれている。リスクは避けられない、むしろそこからいかに這い上がるかが大切だ。長嶋茂雄氏や経営者たちの復活劇に学ぶ。

執筆者:角田 正隆


長嶋茂雄氏カムバック!

『監督・長嶋茂雄の闘い』
『監督・長嶋茂雄の闘い』佐藤安弘著
昨年3月、脳梗塞(こうそく)に倒れた長嶋茂雄氏(元・巨人軍監督、アテネ五輪野球監督)は、7月3日の東京ドーム「巨人×広島戦」を観戦しました。約1年4カ月ぶりに公の場に元気な姿を見せ、日本中の長嶋ファンを大いに安堵させました。

脳梗塞(こうそく)という病気は、前触れもなく発病して、重いまひなどを残す可能性もある恐ろしい病気です。人一倍健康に気をつかう元気な長嶋氏ですら、こうした病から逃れられなかったのです。

ビジネスパーソンを取り巻く環境も、避けようもないリスクに満ちています。倒産や経営破たんといった企業の“突然死”もあれば、左遷、降格、解雇といった“事故”も増えています。

むしろ、こうした事態に直面した後の行動が、ビジネスパーソンの成功・不成功を左右するのではないでしょうか。長嶋氏も発病当初は、右半身の一部にまひが残っていたそうですが、懸命なリハビリの結果、約5カ月後には文字を書けるまでにスピード回復しています。

危機から脱出するヒントを、危機に直面した経営者の復活劇から読み取ります。

step1:事実を冷静に受け止めろ
1000億円失った男 ツカサグループ 川又三智彦社長

『1000億円失って
『1000億円失って』川又三智彦著
「ヨン・ヨン・マル・マル・ワン、ワン、ワン」というコミカルなTVCMを覚えていますか? このCMを流したツカサ川又三智彦社長は、ウィークリーマンションという新しい業態を切り開き、バブル経済の最盛期には、1000億円を超える不動産含み益を持っていました。

ところが、バブル経済が崩壊すると経営が行き詰まり、川又社長は逆に1000億円の借金を抱え込んでしまうのです。ついには主力の「ウィークリーマンション」事業も外資系に売却して、資金を捻出せざるを得ない事態に追い込まれます。

当初は、バブル経済崩壊の一因とされる、政府による不動産事業への融資規制に対し、「不動産業界だけが狙い打ちされた!」と怒りを感じていた川又社長ですが、ある本で読んだ「世の中には客観的事実しか存在しない」という言葉が、川又社長を苦境から救うヒントになります。

感情に流されるな

その言葉の意味は、「感情に流されず、世の中の動きを冷静に捉えよ」という教訓でした。政府に怒りを覚えるあまり、冷静な判断力を失っていた川又氏は、客観的に世の中の動きを分析しはじめます。

すると、新しいビジネスのヒントが見えてきました。「不動産価格の下落は確かに自分にとっても痛手だが、多くの不動産オーナーも同じように売るに売れない物件を抱え困っている。だったらそういう物件を活用する提案をすればよいのでは?」と気づいたのです。

ツカサは駅から遠いマンション物件などを、SOHO向けのオフィス物件に転換する事業を始めます。折からの起業ブームに乗って、現在順調にこの事業を伸ばし、復活の道筋をつけたのです。

事実を冷静に受け止めろ
人間、急なピンチに追い込まれると、冷静さを失ってしまいがちです。事実を客観的に捉えることによって、正しい復活の道筋が見えてくるのです。

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