カードメモで「夢」を携帯
次に「メモ」を見せていただいた。メモは名刺大のサイズで、仕切りのあるカードケースに格納して常に持ち歩いている。渡邉氏は「夢を実現させるには、それを文字に書いた『紙』を常に読み返し、頭に刻み続けるべき」だという。
■カード『夢に日付を』 夢を書き記したカードを常に携帯 |
「これが『夢に日付を』。つまり目標を書いたカードです。『2020年にグループで3000店舗出店』とか『2020年に農業部門で売上高1000億円達成』とすべて“数字”で書いています。数字にすると目標が具体的になり、その数字を達成するために何をすべきか気づかせてくれるんです」
渡邉氏の夢には“日付”と“到達点”が明確に刻まれる。グループ3000店舗出店という目標にも、地域別・業種別の店舗内訳が書かれ、実現までの道筋が明確にされている。日付を入れた夢は、「憧れ」ではなく目指すべき「目標」になる。
その作業を“夢のカラー化”と呼んでいる。
夢はカラーで描け
「メモを見て2020年にグループで3000店舗を出店した状況をイメージすると、店舗の業態や店の雰囲気などは“カラー”で見えます。そこは自分でも自信があって、特に問題はない部分です。■『常に携帯するカード』 自分に言い聞かせるように、厳しいメッセージが刻まれる |
ポケットからカードに書かれた『夢に日付を』を取り出し、渡邉氏は20年も先の構想をイメージする。カード1枚ならば空港のロビーでも、電車の中でもいつでも眺めることができる。この作業を繰り返すたびに将来構想が具体化し、夢の実現に向けて一歩近づくのだ。
「仕事」と「心構え」のメモにもたくさんのメッセージが、自らを戒めるように書き込まれている。心に思うだけでは、肝心なときに教訓を忘れてしまうことがある。1700人を超える企業グループのトップに立った今も、渡邉氏は謙虚な姿勢を忘れないようメモを見続ける。