■ワタミフードサービス 渡邉美樹社長 1959年生まれ。大学卒業後、ミロク経理サービスで経理を習得、佐川急便で独立資金を貯め、84年有限会社渡美商事設立。「つぼ八」のFC店をオープン。96年店頭公開。2000年東証1部上場。座右の銘は「夢に日付を」。ワタミ創業のエピソード |
1. 真っ赤に染まる「手帳」
2. 「カードメモ」夢の日付
3. 目標を刻む「名刺」
4. 書類1つない「机」
5. 孔子の末裔が書いた「夢の一文字」
夢を実現させる男
ワタミの渡邉美樹社長は、24歳で起業、設立わずか20年で従業員1700人を超える企業グループを作った。その渡邉氏の座右の銘は「夢に日付を」だ。夢を憧れで終わらせず、夢を実現させる「日付」を設定する。その瞬間から夢は「目標」に高まり、具体的な行動が生まれるのだ。実際、渡邉氏は22歳で「24歳で社長になる」と宣言、見事に実現させた。店頭公開も東証1部上場も、最初に宣言した「日付」通り実現させている。
確かに渡邉氏は、人並みはずれた構想力や精神力を兼ね備えている。しかし夢を実現させるための工夫を随所に張り巡らせている点も見逃せない。夢を実現させる男、渡邉美樹氏の「日々の習慣」に焦点を当てた。
“真っ赤”な手帳
誰もが「手帳」を活用している。渡邉氏も手帳をスケジュール管理に使い、1分1秒無駄にしないよう、すべて自分で予定を立てる。さらにカードサイズのメモを併用、思いついたことはメモに書き、必要があれば手帳に転記する。早速、手帳を見せていただいた。書き込んだスケジュールがギッシリ詰まっている。さすが10以上の法人を経営する多忙な経営者の手帳だ。
■渡邉社長の手帳 予定が終わるごとに赤ペンで消す 1年すると手帳全体が真っ赤に染まる |
ところがスケジュール帳の「過去のページ」を見て驚かされた。なんと、ページ全体が“真っ赤”に染まっているではないか―――。
「予定が終わったら必ず赤ペンで消すんです。『やっつけたぞ』ってね(笑)」
終わった予定を消せば、新しい予定に集中できるという考えなのだろう。
渡邉氏は就寝前の15分を日記を書きながら、その日を「リセット」する時間に充てる。そして3分で翌日の予定をシミュレーション、思考を未来に向けて切り替える。
手帳に赤ペンを入れ、済んだ予定を「リセット」する。そして気持ちを切り替え、次の予定をシミュレーションしているのだろう。
過去の予定を『やっつけたぞ』と宣言すると同時に、未来の予定に向けて気合を入れ直す。まさに「勝って兜(かぶと)の緒(お)を締めよ」ということだ。
1日約20件の予定が入るという渡邉氏は、1日20回その作業を繰り返すことになる。ちょっとした手帳の使い方から、常に先を見続ける姿勢が読み取れる。