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古くても高く売れる家と安い家の違いは?(2ページ目)

同じような築年数の家でも、高く売れる家と、安くなってしまう家があるようです。売却価格が安くなってしまう家はどんな家なのでしょうか。中古住宅の評価に影響する要因とは?

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



◆外壁の塗装費用は50万~100万円くらい。雨どいや屋根の点検も同時に

外壁の塗装は、まず、足場をかけ、塗料が隣近所に飛散しないように養生をします。そして、外壁の汚れを高圧の水をかけて洗浄し、塗装。塗装は1回ではなく、
下塗り、中塗り、上塗りの3回が一般的のようですが、外壁の状態が悪い(亀裂が大きい、深い、多いなど)場合は、塗装の前の補修に時間がかかります。外壁の塗装の費用は、木造2階建て・延床面積30~40坪程度で50万~100万円くらい。外壁の状態が悪ければ補修に時間も費用もかかりますし、塗装の種類によっても費用は変わってきます。もちろん、大邸宅ならもっと費用はかかりますが、それ以外にも住宅密集地で足場がかけにくいとか、凹凸の多い複雑な形状の住宅であるとか、3階建てや4階建てなどの条件によって、もっとかかる場合があります。

中古住宅のメンテナンスについてはチラシには書かれていないことが多いので事前にしっかりと調べてみましょう

雨樋や屋根材の点検及び補修は、外壁の再塗装と一緒に行うのがよい方法です。なぜなら、高い場所を点検するには足場が必要ですが、この足場をかけるのに何十万円という費用がかかるからです。外壁塗装と一緒にすませば、効率的ですね。

換気口にクモの巣が張っている家は、それだけメンテナンスをしていないことを証明しているようなものなので、きれいにしておきましょう。また、換気口の前にエアコンの室外機や植木鉢などを置いて、風通しを妨げているのもよくありません。湿気は「シロアリの好きな家嫌いな家」で説明したように住まいの大敵です。年に1~2度は点検を。

◆買い手の立場からすれば外まわりのメンテナンスが重要

では、外観のメンテナンスがどのように売却価格に影響してくるのか、築20年で外壁の再塗装を一度も行ってこなかった家を購入した場合を想像してみましょう。

■再塗装していないって聞いたけど安さに魅かれて買いました!
やっぱり見た目が気になる…(友だちも呼べない?)
買ってすぐだけど50万~100万円かけて再塗装する?
えっ、亀裂から雨水が浸入して構造体が腐っているので、数百万円のリフォームが必要?! そんなぁ~(最悪の場合)

まあ、この通りになるかどうかは別としてもこうならないともいいきれません。こう考えると、1回の再塗装にかかる費用を100万円としても、再塗装をしてきた家としてこなかった家の価格差が100万円以上になることは目に見えていますね。

さらに、前に説明した、再塗装の際に採用した塗料の種類によっても、売却価格に差が出る可能性が大。「ないとソンする? わが家の記録」でも触れたように、耐久性のある塗料を使っていることを書類で証明できれば、説得力がありますよね。そう考えると、再塗装の費用は安くても耐久性が短い塗料より、
耐久性が長い塗料を使って再塗装したほうが長期的にはトクだと思います。ちなみに、リフォーム業者によっては外壁塗装の耐久性について5~7年の保証書を発行しているところもあるようです。

冒頭でも触れたように、中古住宅の購入検討者がメンテナンスの実施を評価するのは、内装や水まわりより外まわりのメンテナンス。水まわりは掃除が行き届いていたり、目立ったキズがなければ、かえってリフォームをしていないほうがいいという人もいるそうです。システムキッチンなどを好みのものに取り替えたいという人も多いからだとか。それに対して、外まわりはできるだけ手を入れず、費用をかけなくてもそのまま住めるようになっている住宅が好まれるのです。

◆売ることになったから手入れをするのではダメ

今まで暮らしてきた家がどのくらいで売れるのかは、売却する気がなくてもちょっと気になることでもあります。しかし、本当に売却価格を高めようとしたら、売却が決まったときに付け焼き刃的に手入れをするのではなく、定期的にメンテナンスをしてきたかどうかが重要になります。そして、それを証明するためには建築当初の図面などを保管しておくことはもちろん、リフォーム時の書類も整理しておきましょう。その書類には、いつ、どんな塗料を使って再塗装をしたことも書かれているわけですから。

ある不動産仲介会社の営業マンによれば「住まいに愛着をもっている人は手入れもきちんと行ってきているし、そういう人は図面などの書類もちゃんと保管しているケースが多い」とのこと。
建築時の図面は紛失、手入れもしていない住宅は高く売れないことになります。特に外まわりのメンテナンスの有無は、住宅の性能そのものに直接影響します。逆に中古住宅を買う側からすれば、建築後の手入れがどのように行われてきたかがはっきりとわかる物件なら、安心感があるわけです。

こだわりや思い入れをもって建てた家にずっと快適に暮らすためにも、そして、万が一売却するような事態になっても困らないように、適切な手入れを怠らずに、愛着をもって住まいを守っていきましょう。

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