中古住宅が不人気!? 日本の住宅市場
日本の住宅市場では、欧米に比べて新築が占める割合が圧倒的に大きいのです |
恐らく、売買されない既存住宅の多くは解体され、その土地に新しい家が建てられ、新築住宅として再び市場に出て行くのでしょう。これでは、いつまでたっても、日本の家の寿命は長くなりません。
既存住宅の流通が増えない理由-買う場合
中古の住宅はなぜ、日本で流通しにくいのでしょうか。まずは、既存住宅を買う人の立場からみてみましょう。中古の家を買うとき、まず最初に、耐震性についての不安があると思います。1981年以前に建てられた建物の中には、現在の耐震基準に満たないものがあります。古い建物でも高い耐震性を備えた建物もあり、耐震診断を受けて適切に耐震改修をしたことが重要事項説明書に記載されている物件もあるのですが、このことを知っている人は少ないでしょう。また、あまり普及しているとはいえませんが、既存住宅の住宅性能表示制度などで客観的な評価がわかる物件も少しずつ増えてきています。「200年住宅ビジョン」でもうたわれている「住宅履歴書」が整備されてくれば、既存住宅の売買の際の不安も、もう少し払拭できると思うのですが、このあたりが既存住宅の流通のネックになっていると考えられます。
もうひとつは、税制や住宅ローンなどが新築に比べて、既存住宅の場合は条件が厳しかったり、不利な条件になっていることです。例えば、同じ既存住宅でも築年数が古い建物だと住宅ローンを組むのが難しかったり、新築に比べ返済期間が極端に短くなる場合があります。また、住宅を取得したときに受けられる減税が中古住宅の場合は受けられなかったり、売買を仲介する仲介業者に手数料を払うなど、新築以上に購入当初に費用がかかることがあります。こういった購入時の環境についても、新築と差がなくなってくれば、中古住宅の購入を検討する人が増えるかもしれません。
次のページでは、既存住宅を売る人の立場に立って問題点を考えてみましょう。