照明・LED/照明器具・間接照明の基礎知識

照度は何ルクスくらいがリラックスできるのか?

照度はルクス(lx)という単位で表されますが、その数値が高いほど明るいといわれてます。でも、具体的にはどんな明るさなんでしょう?住宅の照度基準は2010年に改訂されましたので、ぜひ一度確認して下さい。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

照度(ルクス)は明るさの基準を示す単位 

 
照明器具ショールーム

写真1.ショールームとイメージが違うことも・・・

今回は、明るさの基準となる照度についてのお話です。

部屋の照明を考える際に、「明るさ」は照明器具のデザイン同様に気になる点ですね。購入した照明器具が、部屋に取り付いてから、「デザインはいいけど、なんか暗い(もしくは、明るすぎる)」といったようなことを経験されたことがありませんか?

例えば照明器具のショールームで見た時の明るさと、同じ器具でも自分の部屋に取り付いた時では明るさ感に違いのあることがあります。これはおもに空間の広さや内装材の反射率などに影響されているからです。

また、明るさを感知する視覚には、個人差があります。照明現場でしばしばあることですが同じ照明でも、ある人は「丁度よい明るさ」と、言っているのに対しある人は「少し暗いのではないか」と言ったりします。このように空間の明るさは見る人によっても変わってしまったりします。

では、部屋の明るさにあった器具を選ぶには、どうしたらいいのでしょう?
   

覚えると便利な照度計算

明るさは照度=ルクス(lx)という単位で数量化しています。JIS(日本工業規格)では、空間と生活行為ごとに細かく推奨照度を規定しています。

図1.住宅の照明基準総則抜粋(JISZ9110:2010)


照度=単位面積1平方メートルに入射する光束 (lm/面積)
※lm(ルーメン):光源の光の量

人間の感覚と実態のズレを最小限に抑えるために、明るさは照度=ルクス(lx)という単位で数量化しています。JIS(日本工業規格)では、空間と生活行為ごとに細かく推奨照度を規定しています。

上の表を見ると、同じ部屋でも全般照明と特定の行為で照度が区別されていますね。例えば、リビングで読書をしたい時は、300~750ルクスの照度が必要ですが、団らんだけであれば、もっと低い150~300ルクスでよいという具合です。

明るさを測定する器械が照度計です。デジタル照度計で測りたい箇所に当てると、〇〇ルクスと数字で教えてくれます。
 
曇り空

写真2.曇り空

ちなみに、自然界の明るさを照度計で測ってみると・・・
・晴れた日中の直射光→100,000ルクス
・日中の木陰(影の輪郭線から1m内側)→10,000ルクス
・晴れた日中、室内の南窓から1m内側→3,000~5,000ルクス
・曇り空→5,000ルクス前後
・満月の月あかり→0.2ルクス

※上記の明るさは目安で、季節や時間帯などで異なります。
 

場所に適した光

目を休めるには暗がりも必要

写真3.目を休めるには適度な暗がりも必要

照明用語に「適光適所」という造語があります。これは、読んで字の通りで「場所場所に適した光」のことです。住宅の照明を設計して思うのは、一人ひとりの視覚や生活に合った明るさを作ることは、本当に難しいことです。

私たちのまわりには、オフィスや学校・ショップなど、明るい場所がたくさんあります。明るさに慣れてしまって、逆に明るい方が気持ちいい、という方が日本では多いです。でも「疲れ目」や「視力の低下」、そこから生じる「ストレス」には、明るすぎることにも一因します。

そんな目を休めるためにも、家には適度の暗がりの場所を作ってあげましょう。
 
照度計

写真4.照度計

また、照度計で部屋の明るさを測定してみるのもよいでしょう。照度計はインターネットでも販売されており、安価なものは1万円を切って購入することもできます。このような照度計でお部屋の各部を測定したら、前のページの表と見比べてみましょう。意外と大きな違いがあるかも知れません。

明るさを意識するだけで、明るすぎた所は器具のワット数を下げたり、調光のできる器具は照度を落とすことで省エネが可能になります。そのことで空間の印象も違って見えるはずです。今までは気がつかなかったほっとする明るさが、もしかしたらどこかにあったかも知れません。皆さんも、そんな明るさを探してみて下さい。

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