一戸建て選びが難しい理由
住宅展示場で目にするのは、ほとんどハウスメーカーの住宅 |
というのも、一戸建ての依頼会社は、大手ハウスメーカーから1~2人で家族経営している工務店、建築士が独立して設計・施工している個人設計事務所まで、さまざまな業態に分かれて全国にざっと数万社ほどあり、それらが同じ土俵上で競い合っている……という特有の業界地図があるためです。
消費者からみると、その中から自分に合う1社を選ばなければならないわけですから、混乱してしまいがちなのも無理ありませんよね。
今回は、その業界地図について整理しながら解説してみたいと思います。
一戸建てをつくる住宅会社の種類
一戸建ての建築会社は、A.「主に建売住宅や土地の売買を専門にする、不動産業者系会社」
B.「主に注文住宅を中心に供給する建築専門会社」
に大別されます。建売住宅と注文住宅の違いは別の機会に詳しく説明していますが、Aは主に地元の中堅ビルダーや不動産会社に多いのが特徴です。ここではBの注文住宅系の建築専門会社について触れたいと思います。
注文住宅系の建築会社は、
1.ハウスメーカー(住宅メーカー)
2.(工務店を組織する)フランチャイズ会社(住宅FC)
3.地域(中堅)ビルダー
4.工務店
5.設計事務所(建築家)
の主に5分類に分けられます。なお、ビルダーと工務店の違いは主に規模の差で、年間20棟以上で2~3県にまたがって施工販売している会社を地域ビルダー、年間19棟以下で地元に密着して施工営業している会社を工務店と呼ぶことが多いようです(各業態の説明はこちら)。
ハウスメーカーは戸建て業界のどこに位置する?
このうちハウスメーカーは、テレビCMや新聞・雑誌広告、住宅展示場などで目にする機会も多いので、皆さんにとってもなじみの深い会社ではないでしょうか。「いつかはハウスメーカーで一戸建てを建てたい」と憧れる人も多いはず。知名度がもっとも高いのがハウスメーカーなので、「一戸建ての依頼先=ハウスメーカー」と結び付けがちですが、実は、戸建て業界の中でハウスメーカーが占める位置は一部分でしかありません。
では実際、「ハウスメーカー」「ビルダー」「工務店」の市場に占めるシェアはどうなっているのでしょうか? 「当然ハウスメーカーの割合が圧倒的でしょ!」と思いきや、意外や意外、実は年間100棟未満(月間10棟未満)のビルダー・工務店が市場の約半分を占めているのです。
次ページでは、年間施工棟数からみた戸建て市場の実態をみてみたいと思います。