「学ぶ」と「寝る」を分けた「学寝分離」
個室は「寝る」だけの部屋。あえてベッドしか置かない最低限のスペースに(写真協力:ダイワハウス) |
そこで最近、住宅企業の提案で増えているのが「学寝分離」という考え方。個室はあくまでも「睡眠をとる部屋」としてベッドと着替え程度ができるクローゼットのみが置かれた3畳程度にし、「学ぶ場所」や「くつろいで本やマンガを読む場所」は部屋のあえて外に出して、階下のリビングやダイニングなどにもつながるオープンな吹き抜け廊下などに出すプランです。
ダイワハウスがベネッセコーポレーションとコラボレーションした「ハッピーハグモデル」2階間取り図。 |
こうすれば、寝るとき以外は個室に用はないのでこもりにくくなり、親の目が届くところで遊んだり勉強したりしてくれるわけです。2階の吹き抜け廊下に面したデスクで勉強しているときも、吹き抜けからリビングやダイニングの家族の気配を感じることができ、「一人じゃない」「だれかに見られているかもしれない」というソフトな監視効果も働くでしょう。
スキップフロアでリビングの家族とソフトにつながる勉強コーナー(写真協力:三井ホーム) |
子ども部屋を介護部屋に。可変性も大切
子供のために家を建てても、それが必要な時期は永遠ではありません。子供はいつか巣立っていき、入れ替わりに年老いた両親を介護したり、自分たち夫婦のどちらかを介護したりすることになるかもしれません。そういう先々まで見据えたとき、可変性がとりやすい間取りプランになっているかもチェックが必要です。スウェーデンハウス「悠の住処」の介護対応を意識した間取り |
実は前ページでも紹介した、兄弟の個室を完全に仕切らない、共有クローゼットでソフトに仕切るというプランは、介護時にも役立ちます。お年寄りが一人でトイレに行けなくなった場合、介添え者が夜もつきっきりで傍にいなくてはいけません。そんな時、こうしたソフトに仕切られた2部屋同士なら、トイレに行きたい様子や容態の変化もすぐ介添え者が気付くことができます。
子供もお年寄りも、実は「水周り動線」が暮らしやすさのポイントに |
というのも、まず子供はトイレトレーニングの時期があり失敗することはしょっちゅうですし、お年寄りのトイレも大変になります。そうしたときに汚れものをすぐ洗面室や浴室で洗う、汚れた体もそこで洗うといった動線は非常に便利といえます。
以上、間取りで子育てから介護まで腑観してみましたが、間取りはいわば、家族一人一人の動線の形であり生き方そのものでもあります。こんなふうに考えてこの春、間取りから家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。
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