子ども部屋
子供の誕生に続いて入学時に家づくりを考える人も統計的に多い
春は入園・入学など子供の住環境を見つめなおす絶好の機会。先日、雑誌のインタビューを受けたのを機に、住宅各社の最近の子育て住宅の間取りを見比べたところ、ある共通点が見えてきました。間取りは、いわば家族一人一人が動く動線を現したもの。「イマドキ子育て住宅」の間取りから、イマドキ子育てのあり方が見えてきそう?

子供たちの姿を「見える化」する仕掛け

何かとシステムの「見える化」が話題になっている昨今ですが、子育て住宅も数値ではないにせよ、子供の姿が自然と「見える化」する間取りやプラン、動線が増えているような気がします。昨今の引きこもりなどの社会問題を背景に、子供をできるだけ一人にしない、でも無理やり連れ出してくるわけでもない、ごく自然なちょっとした仕掛けが秘められているように思います。

公園
公園で地域の子供たちが交流する機会も減っている(写真はイメージです)
ガイドにも小学生の子供がいますが、本当に今の子供たちは遊ぶ場所がなくなっています。一昔前ならランドセルしょったまま、「○○ちゃんちに行ってくる!」「公園で遊んでくる!」と家にも帰らないで夕方まで元気に集団遊びするのが普通でしたが、今はマンションなど住宅が狭くなる中で家に呼びたがらない親が増えているほか、公園も減っています。

仮に公園があってもお決まりのような遊具がポンと置いてあるだけで、子供たちや地域の人を呼び寄せる仕掛けがほとんどない。さらには公園の周りに住宅が密集しているため、公園くらいしか大声出して遊べないのに「大声を出してはいけません」という看板さえある始末。

一人遊び
外で遊べず、家の中で一人で遊ぶことが多くなる子供たちは……
道路で遊ぶと「危ない」と近所の人に通報され、友達の家にも行けない。午後2時頃に学校が終わっても、仕方がないから共働き家庭は毎日のように塾に行かせ、家に帰ったらDSなどのゲームで一人で過ごさせる。最近では受験塾も学童代わりのサービスを始めたとか。こんな環境が、子供たちに「一人で行動して一人で時間を過ごすことが心地いい」ように育ててしまってはいないでしょうか。
1階間取り
三井ホーム「papa@home」1階間取り。キッズリビングには子供専用のオモチャ収納家具を置いたり、棚をつければ、自分で片付ける習慣にも。自分だけではないパブリックスペースだから、遊び終わったらきれいにしておく意識も芽生える?

友人と遊びにくくなった、親同士の預かり合いが減ってしまった……という社会背景は如何せん時の流れとして抗いがたい部分も少なくありません。今や子供だけでなく大人までもが外出せず「おウチにこもる」御時世。ならば、せめて家の中では家族や兄弟のコミュニケーションや触れ合いを引き出すような間取りプランにすることはできないでしょうか。

パブリックスペースは思い切りオープンに!

一戸建ての場合、おおよそ1階がLDKなどのパブリックスペース、2階が寝室や子供部屋などのプライベートスペースに分かれますが、こうした階によるゾーニングがしやすいのも、ワンフロアであるマンションにはない一戸建てのメリットでしょう。子供ながらに1階は家族とコミュニケーションをとるところ、2階は一人で考え事したり勉強したりするところといった心理的な切り替えができます。
ミサワ間取り
ミサワホーム「ジニアス・リンケージ・ウィズキッズ」。左の1階中央にはリビングとダイニングの間にセンター階段を設けて、2階に上がる家族を「見える化」。2階の子供部屋も兄弟で部屋を仕切らず、共有クローゼットでソフトな仕切りに

ファミリーダイニング
リビングや勉強部屋の役割も兼ねてしまう大きなダイニングテーブル(写真協力・ダイワハウス)
さて、何かと閉じた社会だからでしょうか、その反動として住宅そのものは「家族に開いた」プランが意識的に増えているような気がします。LDKは間仕切りのない一続きの広いコモン(共有)スペースにして、キッチンでさえも「リビングキッチン」(パナホーム)といった触れ合いの場所に。リビングの要素も持たせた「ビッグダイニング」(ダイワハウス)に大きなダイニングテーブルを置き、そこで食事をし、趣味やパソコン、宿題、読み聞かせもしてしまう。最近の一戸建ては面積が狭くなっていますから、こうした多用途テーブルは重宝かもしれませんね。

次ページでは、2階の子供部屋も「見える化」する仕掛けについてご紹介します。