窓・サッシ・玄関ドア/窓・サッシの基礎知識と選び方

窓・サッシの種類と特徴&選び方のポイント

窓は、光や風を取り入れ、換気や眺めを確保し、また、住まいの断熱性能や遮音、防犯性などにも大きな影響を与えるもの。立地にあわせた性能、間取りや空間に適したプランニングすることが重要です。ここでは、窓サッシの種類や特徴、知っておきたい基礎知識をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

建物やプランに適する性能や使い勝手に合わせて選ぶ

従来の樹脂窓に比べ熱貫流率を向上。見込を大きくすることでしっかり強度を確保しながら、フレームを極限までスリム化。[エルスターS(TOSTEM) 施工例(外観3)]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

従来の樹脂窓に比べ熱貫流率を向上。見込を大きくすることでしっかり強度を確保しながら、フレームを極限までスリム化。[エルスターS(TOSTEM) 施工例(外観3)]  LIXIL  

窓・サッシ選びのポイントは、立地にあわせた性能、断熱性や遮音性、防犯性などに配慮すると同時に、間取りプランに適した使い勝手やデザインを選び、プランニングすること。建材メーカーからは、素材やデザイン、性能を高めた豊富な商品が揃い、空間や使い勝手に合わせて選ぶことが可能です。

窓計画は、専門的な知識が必要なので、実際に新築やリフォームを進める中では、建築家や設計担当者からの提案を確認していくことになるでしょう。選び方によっては、予算にも大きく影響するので、性能やデザインなど、こだわりがある場合は、早めに伝えておくことも大切です。

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窓は、サッシ+ガラスで構成されたもの

一般的に、窓は、サッシ+ガラスで構成されたもの。サッシとは、窓の上枠・下枠・たて枠で構成された窓枠の中の框(かまち)と組子のことですが、窓枠全体を指していることが多いので、通常、「窓を選ぶ」という場合は、「サッシとガラスを選ぶ」ということになるでしょう。

主なサッシ素材の種類と特徴  アルミ、樹脂、木製など。複合サッシも

樹脂とLow-E複層ガラスを組み合わせ、高い断熱性能を実現。特殊な表面加工により天然木に近い質感を実現。[APW330 木目仕様 片上げ下げ窓]undefined YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

樹脂とLow-E複層ガラスを組み合わせ、高い断熱性能を実現。特殊な表面加工により天然木に近い質感を実現。[APW330 木目仕様 片上げ下げ窓] YKK AP

サッシの素材として馴染みがあるのが、アルミサッシ。最近では、断熱性を高めた複合サッシ、樹脂サッシ商品も増えてきました。

■アルミ  
強度もあり、耐候性や防火性に優れた素材。軽量なので、開けたり閉めたりする時に、操作がしやすいのが特徴。しかし、熱伝導率が高いので、断熱性にやや劣ります。腐食しにくく、サビにも強い素材ですが長期間埃などが付着していると腐食することもあるので、日頃のメンテナンスも大切でしょう。

■樹脂  
主な材料は、塩化ビニール樹脂。熱伝導率が低く、断熱性に優れる材質。複層ガラスとの組み合わせによって、高い断熱性を得ることができるので、寒冷地(北海道や東北地方など)での使用されるケースが多くみられます。一般的には、アルミよりも強度が弱いので、厚みのある構造となりますが、最近では、デザイン性を高めたタイプもみられます。

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■木製  
木製サッシは、質感や風合いが魅力ですが、腐食や磨耗などの耐久性にやや劣るのは否めません。無垢材を用いたもの、集成材・積層材を用いたもの、それらを組み合わせたものなどもあり、それぞれ、木製サッシのデメリットである、経年による塗装の劣化や腐食、木の狂いなどを克服するための工夫がなされていま す。木材を充分に乾燥させたり、特殊な構造で気密性などを高めた製品もみられます。

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■複合サッシ  
異なる素材を組み合わせたサッシは複合サッシと呼ばれ、たとえば、室外側にアルミ、室内側に樹脂や木を組み合わせるなどしたものなどがみられます。それぞれの素材の特徴を生かした商品がでています。

主なガラスの種類  組み合わせによって窓サッシの性能は変わる

アルミ樹脂複合窓。窓の室内側に、断熱性・防露性に優れた樹脂を用い高い断熱性能を実現。[エピソードNEO たてすべり出し窓+FIX窓]undefined YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

アルミ樹脂複合窓。窓の室内側に、断熱性・防露性に優れた樹脂を用い高い断熱性能を実現。[エピソードNEO たてすべり出し窓+FIX窓]
YKK AP

サッシに組み込まれるガラスにもさまざまな種類がみられ、用いるガラスによって窓の性能は大きく変わってきます。ガラスは、大きく分けて一般ガラスと機能ガラスがあります。

■一般ガラス
「フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)」や破損しても破片が飛び散らないように金属網を封入した「網入板ガラス」、ガラスの片面に型模様をつけた不透明の「型板ガラス」などがあります。

■機能ガラス
2枚または3枚の板ガラスの間に、乾燥した空気の層を封入することで断熱性を高めた「複層ガラス」、衝撃強度、曲げ強度を高めた「強化ガラス」、割れても飛び散ることがほとんどない「合わせガラス」と呼ばれるものがあります。

また、「複層ガラス」には、Low-E金属膜をコーティングした「高断熱複層ガラス」や「遮熱複層ガラス」などの種類もあります。設置する地域エリア、間取りプランに合わせ必要な機能を持つガラスを選ぶことが大切です。

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主な窓形状 使い勝手やデザイン性の高いタイプも 

アルミと樹脂のハイブリット構造に高断熱複層ガラスを組み合わせたタイプ。スリムなフレームはインテリア空間にもすっきりと馴染む。 [サーモスII-H(TOSTEM) コーディネート商品 施工例undefinedオープンウィン フォールディング シャイングレー]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

アルミと樹脂のハイブリット構造に高断熱複層ガラスを組み合わせたタイプ。スリムなフレームはインテリア空間にもすっきりと馴染む。 [サーモスII-H(TOSTEM) コーディネート商品 施工例 オープンウィン フォールディング シャイングレー]  LIXIL

窓サッシのデザインや形状には、数多くスタイルが出ています。最近では、開口部を 広く取ることのできる窓、丸型や正方形、細めの長方形などのデザインも多くみられ、いくつか並べることで、外観デザインのポイントとしたり、プライバシー を保ちつつ採光や通風を確保するケースもみられます。

窓デザインや形状を選ぶ際には、デザイン性だけでなく、空間に適した開閉方法か、開閉操作の使い勝手、網戸の形状やお手入れ方法などを確認しておくこと。また、外部からの見え方と室内側からの見え方の両面から検討することも大切でしょう。

■横引き窓(引き違い・片引き・引き分け)
横に引いて開閉する窓には、左右どちらからも開けられる引き違い、中心から左右に開ける引き分け、一方だけの片引きがあります。

■上げ下げ窓
2枚の窓を窓枠に沿って上下にスライドさせて開閉するタイプのこと。開閉が壁の厚みの中で収まるので、場所をとらないのがメリットです。

■滑り出し窓  
窓枠の左右の溝に沿って動くタイプ(横滑り出し窓)と上下の溝に沿って横に 滑り出すタイプ(縦滑り出し窓)があります。

■内倒し窓・外倒し窓  
内倒し窓は、窓の下を軸に、部屋の内側に倒すタイプの窓のこと。外側に押して開くタイプが外倒し窓です。

■開き窓(外開き窓)
欧米でよく用いられる窓で、左右どちらかを軸に開閉するタイプ。外開きが一般的。

■ルーバー窓 
水平に重なった複数の細長いガラス板のルーバーを、ハンドルやチェーン操作、電動で開閉する窓のこと。ジャロジー、ガラリ窓とも呼ばれています。

■フィックス(はめ殺し)窓 
開閉できないガラス窓のこと。はめ殺し窓とも呼ばれ、採光が主な目的の場合に用いるもの。

■出窓 
窓の開口部を外に突き出したタイプの窓。長方形や多角形(ベイウィンドウ)、弓形(ボウウインドウ)などがあります。

■シャッターや網戸などを組み合わせたタイプ
窓サッシ単体だけでなく、シャッターや面格子、網戸などを組み合わせたタイプもみられます。設置する場所、用途に合わせて選ぶようにしましょう。

おすすめ記事:引き違い、上げ下げ、滑り出しetc. 窓の種類と特徴

熱を通しやすいフレームの露出を抑え、ガラス面積を拡大した高性能樹脂窓。トリプルガラスは、複層ガラス並みの軽さを実現。 [エルスターX(TOSTEM)]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

熱を通しやすいフレームの露出を抑え、ガラス面積を拡大した高性能樹脂窓。トリプルガラスは、複層ガラス並みの軽さを実現。 [エルスターX(TOSTEM)]  LIXIL

窓サッシ商品の傾向

最近の窓サッシ商品の傾向は、断熱性能を高めたタイプが多く揃っていることが挙げられるでしょう。性能をアップさせると同時に、すっきりとしたデザインとしたもの、掃除がしやすいタイプなどが揃ってきています。また、リフォーム向けの商品が充実しているのも特徴です。

■断熱性能を高めた商品バリエーションが充実
住まいの高気密・高断熱化は進み、断熱性能の高いサッシ商品も充実してきています。室内側と室外側のアルミサッシの間に特殊な部材を挟んだり、室内側のサッシを木製や樹脂としたものなどを用いるなど、メーカーごとに工夫を施した商品が増えてきました。

また、断熱性能をより高めた樹脂サッシの商品も増えてきており、サッシ枠をスリムにすることでガラス面積を広げ、すっきりとしたインテリアを実現できるものなども。木目柄の高耐候性ラミネートを外部側に施したものなどもみられます。

■既存の窓や開口部に設置しやすいリフォーム向け商品も

壁工事が不要。施工は約2時間~半日で完了。暑さや寒さの原因のひとつである古い窓を変えることで住まいの断熱性もアップ。undefined[マドリモ After 樹脂窓 三方ワイドケーシング90見付+テラス用下枠 内観ナチュラル]undefined YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

壁工事が不要。施工は約2時間~半日で完了。暑さや寒さの原因のひとつである古い窓を変えることで住まいの断熱性もアップ。 [マドリモ 樹脂窓 三方ワイドケーシング90見付+テラス用下枠 内観ナチュラル]  YKK AP

使い勝手や断熱性能を高めるために窓のリフォームを行うケースも多くみられ、最近では、既存の窓枠や開口部にも設置しやすいリフォーム向けの商品も増えてきています。施工がしやすく、短い工事期間で設置できるのが特徴でしょう。

また、既存の窓(アルミサッシや木製の窓)の室内側に設置する内窓の商品も揃っています。既存のサッシはそのままなので、大掛かりな工事を伴わずに取り付けることができるのが特徴です。内窓を設置することで、既存の窓との間に空気層が生まれ、外気温の影響を受けにくくなるため、断熱性能だけでなく防音(遮音)性能も高まるのもメリットでしょう。

おすすめ記事:断熱性、防音性を高める 内窓の特徴と選び方の注意点

■防火窓の窓形状も豊富に

都市部にみられる防火/準防火地域の住宅などに設置するケースも多い、防火性能を持つ窓サッシのバリエーションが豊富になってきたのも最近の特徴のひとつでしょう。すべり出し窓や片上げ下げ窓、フィックス窓など窓形状も増え、ガラスも網入りではなく、網目のないタイプを用いた商品もみられます。


このように窓(サッシ)には、多くの種類があり、それぞれに特徴があるので、使う場所、目的に合わせて、性能やデザイン性などさまざまな角度から検討し、選ぶことがとても重要です。住まい全体のプラン、窓に必要な機能など、設計担当者と相談しながら敷地条件や地域性なども含めて、プランニングするようにし ましょう。


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