快適さを左右するキッチンの換気扇
キッチンプランを検討する中でも換気扇(レンジフード)は、機能や性能など、気になるアイテムのひとつ。各メーカーの換気扇にも、機能性だけでなく、デザインや掃除のしやすさに工夫を施した商品が揃っています。新築やリフォームで多くの方が取り入れるシステムキッチンには、商品ごとにあらかじめいくつかの換気扇が設定されており、その中から選ぶことになります。こだわりがある場合は、事前にどのようなタイプの換気扇を組み込むことができるのか、確認しておくことも大切でしょう。
整流板によるすき間風現象で、下から吸い込む力をパワーアップ。ファンの回転によって発生する遠心力で、排気中の油分を分離。目詰まりを起こすフィルターがなく、吸い込む力が落ちない。分離された油分はオイルパックに回収。整流板は手前と奥が外れる両開き式なので、取り付けたまま表も裏も吹くことができる。 ゼロフィルターフードeco(扉材前幕板)シルバー [ザ・クラッソ] TOTO
換気扇(ファン・システム)とフード(覆い)で構成
換気扇は、レンジフードなどとも呼ばれますが、機器としては、換気扇の部分(ファン・システム)とフード(覆い)部分に分けることができます。多くの方が取り入れるシステムキッチンのアイテムとしては、換気扇とフードをまとめて、レンジフードやフードと呼ばれることも多いようです。プランニングの際には、ガスコンロやIHクッキングヒーターなどの加熱機器と同時に、適したタイプを選択していくことになりますが、アイランドキッチンや対面キッチンなど、キッチンプランによっては取り入れるタイプが異なるケースも。キッチンプラン全体はもちろん、住まい全体の換気計画にも関わるため、設計担当者と充分に検討することが大切です。
換気扇部分の機能 プロペラファンやシロッコファンなど
換気扇(ファン・システム)部分の主な方式には、プロペラファンタイプ(直接排気式)とシロッコファンタイプ(ダクト排気式)などがあります。■プロペラファンタイプ(直接排気式)
プロペラファンタイプ(直接排気式)は、屋外へ直接排気できる(外壁に直接設置できる)場合に設けられるもの。従来の一戸建て住宅を中心によくみられるタイプで、比較的安価です。
取り付けも簡単で換気量も多いのがメリットでしょう。外壁面にプロペラファンを設置し、フードを組み合わせるため分離型と呼ぶこともあります。
■シロッコファンタイプ(ダクト排気式)
シロッコファンタイプ(ダクト排気式)は、天井裏や壁などに施工されたダクトを介して、煙や湯気を排気口まで誘導する方法です。
シロッコファンは、羽根車に幅の狭い羽根が数多く付いているもので、フードに煙をためて拡散します。ダクトを利用するため、4方向に自由に排気することが可能、アイランドキッチンや対面式キッチンなどキッチンが外壁に面していない場合をはじめ、マンションや一戸建てでも多く用いられています。
その他、浅形のフードに多く使用され、羽根がファンの回転方向に対して後ろ向きに配されているターボファンもあります。これらは、ファンとフード本体が一体化しているタイプになります。
ファンを天井裏に設置することで低騒音化を実現。ダクトのデザインもすっきりとスリムな印象に。フードに4灯の照明(温白色LED)を前後に配置。 [静音スリムフード シロッコファン] パナソニック エコソリューションズ
排気機能 一般排気型や同時給排気型など
排気の機能によって分類することもあります。■一般排気型
ファンによって、排気のみを行うタイプ。キッチン近くに給気口を設けて給気を確保する必要があるものです。
■同時給排気型
ファンによる排気とレンジフード本体に設けた給気口から給気を確保するもの。
■強制同時給排気型
ファンによって給気・排気を行う、高層住宅や気密性の高い集合住宅に用いられるタイプ。
フード(覆い)部分の形状 ブーツ型やスリム型など
フードは、プロペラファンにかぶせるだけのものと、シロッコファンなどと一体になっているタイプになります。オープンなキッチンの場合は、デザイン性に藻配慮したい。オイルスマッシャー機構が油の浸入をブロック。整流板とオイルトレーはフッ素塗装されているので、お手入れが簡単。回転ディスクのお手入れも3ヶ月に1回程度。 レンジフード/CLSタイプ オープンキッチン 壁付I型 奥行65cm 間口255cm [アレスタ] LIXIL
形状として馴染みがあるのが、ブーツ型(スタンダード型)。プロペラファンとフードを組み合わせた分離型のタイプでも、シロッコファンなどとフード本体が一体化しているタイプでもみられるスタイルです。
■スリム型
すっきりとしたデザインのスリム型は、シロッコファンなどとフード本体が一体化しているタイプになります。システムキッチンのウォールキャビネットと馴染むようなタイプも多くみられます。
■浅型
天井が低かったり梁があるなど、設置スペースの条件が厳しい場合に取り入れやすいのが浅型(フラット)タイプ。シロッコファンやターボファンなどと一体化しているタイプになります。
■その他
山のような傾斜が特徴のマントル型、筒形やボックス型など、個性的なデザインのフードを持つ商品もみられます。国産だけでなく海外の製品などにも印象的なデザインが揃っています。
設置場所 壁付けや天井取付け
取り付ける場所によっても、壁付けタイプや横壁付け(サイド)タイプ、天井取付け(センター)タイプなどに分けることができます。スタイリッシュな薄型ボディ。LED照明がオープン対面キッチンの手元を明るく照らす。ファン本体がワンタッチで取り外し可能なのでお手入れも簡単。 レンジフード J69 サイドマントルフード・HVR タイプ[アレスタ] LIXIL
キッチンプラン(レイアウト)によって いずれかを選ぶことになりますが、たとえば、独立型のキッチンやひとつの壁面にI型キッチンを設けるプランなら壁付けタイプを、オープンな対面キッチンであれば横壁付けなどが向いています。
■天井付けタイプ
アイランド型であれば天井取付け(センター)タイプを選ぶことになるでしょう。
汚れにくく、掃除やお手入れが簡単に
最近の各メーカー商品の大きな特徴は、掃除のしやすさ。ファンやフード本体、フィルターなどの形や加工に工夫を施したものが増えています。シロッコファンの油汚れがつきにくいもの、長期間掃除が必要ないタイプやセルフクリーニング(自動洗浄)機能を持つもの、特殊加工したタイプなど。汚れにくいフィルターや整流板を用いたり、フィルターそのものがない(ノンフィルター・フィルターレス)タイプもみられます。また、フードであれば、シンプルな形状で不必要な溝や凹凸などを少なくし、汚れが溜まりにくいもの、フッ素や親水コーティングなどによって、お手入れを楽にしたものなどもあります。
油汚れを毎回自動で掃除するので、ファン掃除は10年間不要。油汚れが集まるラクウォッシュプレート(油捕集板)は、年に一回洗うだけ。[ほっとくリーンフード] パナソニック エコソリューションズ
自動運転、省エネ運転、リモコンタイプなど便利機能も
さまざまな機能を持たせ、使い勝手を高めたタイプも増えてきています。たとえば、加熱調理器をつけると自動的に換気をスタートさせる自動運転タイプであれば、つけ忘れや消し忘れの心配もないでしょう。また、調理の煙や熱、油煙などをセンサーでキャッチし、自動的に最適な省エネ運転をするタイプやリモコンによって遠隔操作ができるものも。手元を明るくする照明はLEDが多く用いられ、取り換え手間を省くと同時に省エネにも配慮されています。その他、常時(24時間)換気タイプや上昇気流が弱いIHクッキングヒーターに適した捕集方式の商品も揃っています。
LDK空間にも馴染むデザインのタイプも。ショールームで確認を
レンジフード側面から風を発生させ、周囲に空気の壁(エアカーテン)をつくる。室内の風の影響を受けにくくし、調理中の油煙を吸い込むため、調理のにおいが広がらず、リビングやダイニングを快適に。 エアカーテンフード [ザ・クラッソ] TOTO
キッチンの換気扇は、機器本体の性能やデザイン性だけでなく、住まい全体の換気計画にも関わるので、設計担当者としっかりと相談すること。その上で、取り入れたい機能や性能、デザインなど、優先順位を明確にして選ぶようにしましょう。メーカーそれぞれの工夫があるので、ショールームでは、実際に操作し、その使い勝手や動作音、メンテナンスのしやすさなどを確認することが大切でしょう。
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