内装材はさまざま。一般的な壁クロスも豊富な商品が揃う
塗壁の雰囲気を持つクロスはどんなインテリアにもマッチする。 [SP2135] サンゲツ
内壁の仕上げ材には、壁クロス(壁紙)、塗壁、木、タイル・石などが挙げられますが、一般的な住宅に多く用いられているのは、壁クロス。石膏ボードなどの下地の上に張っていく乾式工法の壁クロスの素材には、ビニールや紙、織物など、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解して空間に適した商品を選ぶことが大切です。
壁紙(壁クロス)の主な種類と特徴
■ビニールクロス 豊富な商品が揃い、さまざまなコーディネートが可能塩化ビニール樹脂などを主な素材とするビニールシートに紙などを裏打ちしたもの。最も多く用いられている素材で、ハウスメーカーや工務店の住宅商品では、標準仕様となっているケースが多くみられます。
比較的安価なものから揃い、色やデザインのバリエーションも豊富、プリントを施したものだけでなく、表面に凸凹のあるエンボス加工や発泡させたタイプなど、表面加工の方法によってもさまざまな種類があります。
商品にもよりますが、耐久性もあり、お手入れが楽なことなども魅力。施工がしやすいのも特徴でしょう。最近では、調湿性や防カビ性など、さまざまな機能を持たせている商品も多くみられるので、使用する空間に適したタイプを選ぶことが可能です。
■紙クロス 洋紙のタイプや和紙、ケナフなども
パルプが原料の洋紙などを原紙に、プリント加工やエンボス加工したものが紙クロス。欧米では多く用いられる素材で、色や柄が華やかなタイプなどが揃います。
また、こうぞや みつまたを原料とした和紙、月桃の茎から繊維を取り出しパルプにした月桃紙、一年草のケナフなど原料としたものなどもあります。
■織物(布)クロス 温かみのあるテクスチャーが魅力
レーヨン、合成繊維、綿や麻などが原料。平織りや綾織、不織布などがあり、温かみのあるテクスチャーや高級感、重厚感が魅力ですが、価格は比較的高め。ホコリを吸着しやすいので、お手入れははたきをかけるか掃除機を用いるといいでしょう。
■木質系や無機質系などを用いたタイプも
薄くカットした天然木やコルクなどを紙と張り合わせた木質系のもの、塗り壁の雰囲気を味わうことができる漆喰壁紙や珪藻土壁紙、環境への配慮からオレフィン樹脂などを用いたものなどもあり、その素材や加工方法などは多種多様です。
デザインだけでなく、用いる空間に適した機能を持つクロスを
壁クロスを選ぶ際には、色や柄はもちろんですが、用いる空間に適した機能を持つタイプを取り入れることもポイントです。メーカーからは、さまざまな機能を付加した機能クロスと呼ばれる商品も多くみられ、カタログではマークなどで表現されています。商品によって性能に違いがあるので、どの程度の性能が期待できるか、どのくらい効果が持続するか、具体的な特徴や機能は、ショールームなどで確認することが大切でしょう。
壁紙(壁クロス)の主な機能
■汚れがつきにくく、落としやすい特殊な表面加工によって、汚れが付きにくく、また付いても落としやすいもの。水拭きなどで汚れを落とすことができるので、子供室、ダイニング、洗面などに用いてもいいでしょう。
■傷や衝撃に強い
引っ掻きキズや衝撃などよる傷つきに強い加工を表面に施したもの。物がぶつかった際の表面のはがれなどを防ぎます。
■抗菌作用で清潔に保つ
表面にフィルムを使用するなどして、菌の増殖を抑え清潔に保つ機能を持たせたもの。洗面室やトイレなどに水まわりに向いています。
■カビや結露の抑制
湿気をコントロールする機能をもつもの。湿気を吸収し、結露を緩和し、乾燥時には逆に水分を放出するという調湿機能を備えています。吸放湿性のタイプだけでなく、通気性のタイプも。静電気が発生しにくいので、ホコリや汚れがつきにくいというメリットもあります。
■気になるに臭いを消臭
臭い成分を吸着・分解除去するもの、においの元となる雑菌の繁殖を防ぐものなど。たばこの臭いやペットの臭いなどが気になる部屋に用いてもいいでしょう。
■抗アレルゲン
ダニの糞、死がいや花粉などのアレルゲンを吸着し、働きを抑制するもの。空気環境が気になる子供室や寝室に。
■ペット対応
表面にフィルムを加工するなどして、傷や破損に強く、汚れた場合にも拭き取りやすくすることで、ペットの引っかき傷などに対応したもの。
■リラックス効果
天然鉱石を用いてマイナスイオンを発生させ、リラックス効果を持つ商品もみられます。寝室や子供室、書斎などに取り入れてもいいでしょう。
■その他
表面に、光りを蓄える特殊なインクで柄を印刷、消灯後にその柄が光って浮き出てくるクロス、壁紙表面の凹凸が少なく、映像の再現性に優れているプロジェクター用などもあります。
環境に配慮した商品も
天然素材を使ったものや非塩ビ素材を使用したもの、水性インクを使用したクロスなど、環境に配慮した商品も充実しています。材料を効率的に使うことで省資源を目指したり、廃棄の際に環境への負荷を抑えたものなどがみられます。たとえば、天然資源である竹や一年草のケナフを用いたものも。ケナフは一年草で成長が早いため、毎年伐採することができ資源の枯渇がありません。
壁紙に対する基準も確認しておきたい
クロス(壁紙)には、品質保証、健康、環境保護に配慮した原料使用などの規定があります。カタログなどに記載されているので、確認しておくといいでしょう。■F☆☆☆☆(Fフォースター)
JIS製品に表示することが義務づけられている、シックハウス対策に対応する、ホルムアルデヒド等級の最上位規格を示すマーク。F☆☆☆☆と表示されている商品であれば、建築基準法によって使用量は制限されません。
■SV( Standard Value)規格
「壁紙工業会」が制定した壁紙安全品質基準。消費者が安心して使用できる壁紙を提供することを目的として制定した自主規格です。
■ISM(インテリア・セーフティ・マテリアル 略称 イズム)
「日本壁装協会」によって定められた自主基準。「化学物質の発散を最小限に抑え、安全な室内空気環境、健康的な生活環境の提供」を目的としています。
■非木材紙マーク
「非木材グリーン協会(NPO法人)」が認定しているマーク。地球環境保全に心がけ、非木材パルプを使用した紙や紙製品、加工品につけられるもの。
■エコマーク
環境保全を目的とした商品につけられる推奨マーク(「公益財団法人日本環境協会」)。再生材料を使用したもの、有害化学物質の使用を抑制したものなど、環境配慮への総合的な評価から認定。
ショールームで確認を。大きなサンプルで住まい全体で考える
最近の壁クロスは、デザインはもちろんのこと、さまざまな特徴を持たせた商品が数多く提案されています。各メーカーからは、新しい素材の提案もみられ、見ただけではその素材を判断するのは難しい場合も。選ぶ際には、カタログやサンプル帳だけでなく、できる限りショールームで確認することが基本です。ショールームでは、できる限り大きな見本で比較検討をすること。カタログの小さなサンプルで見るよりも、実際に施工すると淡く、明るく見えるケースも。一般的に、床から壁、天井の順に明るくすることで空間が広がりを感じるものですし、天井を壁よりも暗めの色とすると落ち着いた雰囲気に。また、壁一面だけに、他と異なる色柄の壁紙を用いることで、印象的な空間を生み出すことも可能でしょう。
最近では、LDKをひとつの空間にしたり、吹き抜けを設けるなど、オープンな間取りが多くみられます。壁クロスを選ぶ際には、床材や天井材、室内扉や設備機器、家具やファブリック(カーテン)など、空間全体で検討することが大切でしょう。
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