マンションの遮音性と防音性 

マンションでの快適な暮らしと「騒音問題」には深い関係があります。日常生活をおくる中で、他人の出す音が気なってしょうがなかったり、反対に自分の家からでる音にクレームがきても、そこでの生活は心安らかなものにはならないでしょう。最悪の場合、ご近所とのトラブルに発展する可能性もあります。

様々な人が住むマンションでの床の防音・遮音知識でご近所トラブル回避

マンションは多くの人が集まって住む。音に敏感な人や病気で寝たきりの人、受験生など、それぞれの環境により感じ方も様々だ。


住戸内で発生した音は主に、床、窓、壁から伝わります。今回はこのうち「床の遮音・防音」にスポットを当てて考えます。
 

マンションの床でおこる音の種類

軽量床衝撃音(LL:レベルライト)
例)スプーンやコップを落とす、スリッパでパタパタ歩く音。
軽量床衝撃音とはスリッパでパタパタ歩く音、スプーンを床に落とした音など

軽量床衝撃音とはスリッパでパタパタ歩く音、スプーンを床に落とした音など


■重量床衝撃音(LH:レベルヘビー)
例)子どもが走り回る、椅子から飛び降りる音
 
重量床衝撃音とは室内を走り回る音、椅子から飛び降りたときのドシーンという音など

重量床衝撃音とは室内を走り回る音、椅子から飛び降りたときのドシーンという音など


床周りで起きる音には上記の二種類があります。床の遮音性・防音性を保つには、この二つの衝撃音に対し、おのおの効果的な対策を取ることが大切です。

軽量床衝撃音は、主に床の仕上材の種類によって音の大小に影響が出ます。それに対し重量床衝撃音は、床板(マンションの場合は主にコンクリート:「床スラブ」といいます)の厚さや梁の位置が音の大小に影響を与えます。

 

軽量床衝撃音を左右するもの:仕上材

まず軽量床衝撃音(=パタパタというスリッパで歩く音など)を左右する床の仕上材による遮音性能の違いを見てみましょう。
フローリングは人気のある床仕上げですが、遮音フローリングでかつ遮音性が高いものを選ぶようにしましょう

フローリングは人気のある床仕上げですが、遮音フローリングでかつ遮音性が高いものを選ぶようにしましょう


現在最もよく目にするのはフローリング仕上の床です。しかし、音という観点から見ると、一般的なフローリングよりもカーペットや畳など、やわらかい素材、クッション材が裏打ちされている仕上材を使うほうが遮音性能は高くなります。材質別に一般的な遮音性L値の目安をあげます。
(L値は数字が小さい方が遮音性が高い)

・普通のフローリング:LL-60
・遮音フローリング:LL-55~LL-45
・カーペット仕上げ:LL-45~LL-40

従って、床仕上げ別遮音性能は下記のようになります。

カーペット > 遮音フローリング> 普通のフローリング 

マンションで床材がフローリングであれば、遮音フローリングを採用しているかチェックしましょう。そして、子どもが長い時間を過ごす部屋などには、その上に最も遮音性の高いカーペットを敷くと良いでしょう。
 

重量床衝撃音を左右するもの:スラブ厚さ

次に、重量床衝撃音(=ドスーンという重いものを落とす音など)については、床スラブの梁に囲まれた面積が小さいほど、そしてスラブ厚が厚いほど遮音性能は高いと考えてよいでしょう。

対策は、スラブ厚の厚い物件を選ぶこと。厚さの目安は200ミリ以上。これが230ミリ、250ミリと厚くなればなるほど音が響きにくくなります。また、梁に囲まれた部分の面積が小さい方が遮音性は高くなります。梁の位置や梁の数は構造計算や間取りの関係で決められています。

一般の人がチェックするのは難しいかもしれませんが、梁の位置は間取り図に点線で記入されていることもあるので、気になる人はチェックしてみてください。
 

防音の対策でフローリングを選ぶ時の注意点

現在はフローリングの人気が高く、分譲マンションではほとんどの部屋の床仕上げがフローリングになっています。従って音の問題発生の可能性を考え、遮音フローリングを使っているか、その中でも遮音等級の高い製品かなど細かくチェックしましょう。

仕上材を選べる物件の場合は、階下の間取りをチェックして、寝室など特に音が気になる部屋の上部に当たる部屋には、じゅうたんやカーペットも検討すると良いでしょう。
 

遮音フローリングのL値はワンランク上を選んで

床の遮音性は、仕上材だけでは決まりません。ですから、実際にはフローリングに記載されている遮音性能よりワンランク程度下がると考え、より遮音性の高い製品を選んでおくほうが安全です。例えば、小さいお子さんがいるなど階下への音が気になる場合は、LL-40、LL-45を目標に選ぶと良いでしょう。
 

床の遮音性を表すL値とは

遮音性能を示す単位としてL値が使われます。このL値は振動音または実際に聞こえる音のレベルを示します。L値の数字は小さければ小さいほど遮音性能が優れていることを示します。例えばL値表記のL-45とL-40では、Lの後に続く数字が小さいL-40のほうが遮音性能が高いことになります。この基準に基づいてL値表記しているものに、フローリングがあります。

【L値一覧表】L値とその値が示す遮音性能の目安。音には重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)があります。(出典:日本建築学会)

【L値一覧表】L値とその値が示す遮音性能の目安。音には重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)があります。(出典:日本建築学会)

 

防音性・遮音性を左右する床と天井の工夫

いわゆる二重床、二重天井は遮音性と関係があるのでしょうか。床下地の方法では、下図に示すように、床スラブの上に遮音置床を置き仕上材を張る「ユニットフロア(二重床置床)式工法」と、床スラブの上に直に仕上材を張る「直(じか)貼り工法」があります。

二重床置床工法と直貼り工法の違い。二重床置床工法は、遮音性を高めるためというよりも、将来の間取りリフォーム対応のしやすさで採用される。

二重床置床工法と直貼り工法の違い。二重床置床工法は、遮音性を高めるためというよりも、将来の間取りリフォーム対応のしやすさで採用される。


一見、床下に空間のある二重床置床式工法の方が遮音性が有利のように見えるかもしれませんが、二重床置床式工法のメリットは、あくまで将来的に行うかもしれない大がかりな間取り変更リフォームをする際の対処がとりやすいという点などであり、遮音性を高めるために採用されているものではありません。

 

二重天井は効果があるのか

天井に関しても、天井裏に空間がある方法(「二重天井」といいます)はあくまで天井裏の配線のしやすさや将来的なリフォーム対応などのために採用されているものです。

一方、床も天井も、コンクリートスラブと仕上げ材の間に空間があると、施工精度が悪いと音が反響してしまう太鼓現象などが発生し遮音性能が低下する場合があるとも言われています。

繰り返しになりますが、二重床、二重天井の大きなメリットは、将来的に大がかりな間取り変更リフォームをする場合のしやすさなどにあります。床や天井がどのようになっているかは、マンションのモデルルームに行って設計図面で確認したり、担当者に聞いたりすればわかります。

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マンション選びで「二重床・二重天井」が大切な理由
 

騒音によるマンショントラブル

マンションでは騒音がトラブルになりやすく、訴訟問題まで起こっています。上下左右に受験生や病気のかたがいらっしゃる場合には特に気をつけたいものです。

音の問題はその人の感じ方・住まい方が大きく影響します。建物自体で遮音性の高いものを選ぶことに加え、住まい方もあわせて考慮する必要があります。マンション購入を考えていらっしゃる方はぜひ遮音性についても検討してください。

また最近では、防音マットや防音カーペット、静床ライトを敷くのもおすすめです。カラフルなおのやキャラクター柄などさまざまな種類がありますので、お好みのデザインを試してみてください。

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