チェック1:界壁(かいへき)は何でできているか
一般的な鉄筋コンクリート造の中高層マンションでは、住戸と住戸の堺にある界壁(かいへき)はコンクリートでできているケースが殆どですが、鉄骨造や高層マンションなどでは軽量気泡コンクリート壁(ALC版という)や軽量鉄骨下地の両側に石膏ボードを貼り内部にグラスウールを充填した遮音壁など、コンクリート以外のもので造られているものもあります。
コンクリートであればその厚みが厚ければ厚いほど遮音性が優れます。目安として15センチ以上は欲しいところです。その他の壁の場合、遮音性能がどの程度あるのか確認するようにしましょう。
チェック2:構造スリットの有無
まれに構造的な理由で、柱と壁のコンクリートの境目にスリット(隙間)をつくるケースがあります。これは遮音性の観点では残念ながらアウトです。遮音性を保つには、柱や壁のコンクリートは隙間なくつながっていることが大切です。スリットが設けてあると、この隙間から音が漏れてくる可能性があります。
確認の方法ですが、図面等を見てもわかりにくい部分なので、モデルルームなどで聞いてみましょう。すぐに返事が来ないかもしれませんが、問い合わせて確認することが大事です。
チェック3:コンセントボックス・スイッチボックスの埋め込み
界壁にコンセントやスイッチがついている場合は、どのようについているか確認します。もしそれらのボックス部分が壁のコンクリートを欠きこんでついていると、その分壁のコンクリート厚さが薄くなっているということになります。コンクリートが薄い部分から音が漏れてくる恐れがあります。
【コンセントボックス等の壁欠きこみ概念図】壁からコンセントやスイッチが飛び出さないようにコンクリート壁を欠きこんでボックスが納められていることがあります。反対側(隣戸)の同じ位置に欠きこみがあったらその部分の壁厚はとても薄いということです
チェック4:界壁と仕上げボードの隙間
界壁の内装仕上げですが、遮音・防音の観点からは、コンクリート壁に直接ビニールクロスなどを張る仕上げ方法がベストです。「直接張る」というとイメージが悪いかもしれませんが、コンクリートの施工状況がよくないと直張りはできないため、それができるということは好ましいことなのです。理由なく界壁にビニールクロスを直張りしていない物件の方が、心配かもしれません。
一般的に、外気に面する壁の内部仕上げは、団子状の接着剤でボード類を張り、そこにビニールクロスを張るGL工法が用いられます。この工法を界壁に使っていると、壁とボードの間の隙間に太鼓現象という共鳴がおこり、音が大きく聞こえることがあります。
【壁仕上げ概念図】この図のように壁に団子状の接着剤をつけてその上にボードとビニールクロスを張って仕上げる工法をGL工法といいます。施工しやすいので多く使われる工法ですが、界壁にこの工法を使うと太鼓現象が起きて遮音性が低くなる恐れがあります。
以上、壁を伝わる音についてのチェックポイントを4つ述べました。ここまでチェックしたらもう立派なマンション通(ツウ)と言ってもいいかもしれませんね。
それでは次のページで、交通騒音などの窓を通して聞こえてくる音についてみて参りましょう。