マンション物件選びのポイント/マンションの内装・設備・向き

見えない設備で分かる!マンションの将来性(2ページ目)

マンションの耐久性は「設備まわりの仕様」に大きく左右されることをご存知ですか?これからの時代、高品質、高耐久であることはマンションの必須条件です。今回は耐久性に影響を与える設備回りの性能に注目します(2014年5月改訂、2008年10月初稿)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

共用配管の交換が難しい理由

マンションの共用配管を交換するためには全家庭の了解を得る必要があることや、交換のために各住戸の内部に入らなければならないため、住人の負担が重くなることが挙げられます。

また別なケースでは、設備配管がコンクリートに埋め込まれているため、交換のためにコンクリート躯体を壊す必要がある、という困った事例もあります。そうなると建物自体を取り壊して新しく建てた方が良いとされ、取り壊しの方向で話が進むことも少なくありません。マンションの場合は住民の意見をとりまとめるのが難しく、建て替えもなかなか容易でないことを考えると、このような造られ方をしたマンションでは長い間、安心して住むことが難しくなることがわかります。

設備配管がコンクリートで囲まれていたり、地中埋設管の上にコンクリートの打設があるとメンテナンスや交換が容易にできなくなります。
設備配管がコンクリートで囲まれていたり、地中埋設管の上にコンクリートの打設があるとメンテナンスや交換が容易にできなくなります。


設備回りの性能チェックリスト

設備配管回りへの適切な配慮があることが、そのマンションの将来性を左右することをお分かりいただけたでしょうか。ここで点検や交換のしやすい共用の設備配管回りの性能チェックリストを載せます。

□1:コンクリートに配管が埋め込まれていない
□2:地中に埋設された配管の上にコンクリートが打っていない
□3:共用排水管の点検・清掃口が設けられている
□4:共用配管の内面がでこぼこなく、たわみや抜けに強くなっている
□5:共用部分から共用配管の補修ができるようなしくみになっている

1のポイント……共用配管が通るPS(パイプスペース)がコンクリートまたはコンクリートブロックなどで囲まれてしまっているケース。コンクリートやコンクリートブロックを壊さない限り点検・交換ができません。

2のポイント……各家庭の排水が集められる共用の排水管は、建物の下で横に曲がり敷地内を通って道路の下にある下水管につながって排水されます。敷地内にある排水管の上部にコンクリートが打ってあったりタイル張りになっていたりすると、交換するときに取り壊し作業などの大掛かりな工事が必要となります。ですから、緑地やアスファルトなど比較的復元しやすい地面で覆われているのが望ましいでしょう。

3のポイント……共用排水管はPSという壁に囲まれた空間を貫いていますが、排水管の継ぎ目の位置に点検できる開口が壁についていれば、ちょっとした不具合の時に開けて点検・清掃をすることができます。

4のポイント……排水管が詰まらないためには、排水管そのものの内面が円滑でつまりにくい素材でできていることや、管がたわんだり接合部分が抜けないように施工されていなければなりません。

5のポイント……実はこの部分がもっとも大切になります。取り壊しになったマンション例もそうですが、寿命がきた設備配管を交換する時に、専用部分に入らなければならない構造になっていると、住まい手の負担も大きくなり、最悪の場合はいつまでたっても交換できないということも。最終的には不自由なまま暮らすか、建物自体を取り壊しとなる憂き目に合いかねません。

それでは次のページで最も理想的な設備回りの姿を追求してみましょう。
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