「家歴書」とは、住まいの履歴書のようなもの。家を購入したら家歴書の整備をお忘れなく。 |
2009年には、長寿命な家を「長期優良住宅」と認定する「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されました。この認定を受けるために、「住まいの履歴書」をつけて保存することが義務づけられています。
このことからも、家そのものの価値を保つために「家歴書(住宅履歴書、または家カルテ)」が必要だと考えられていることがわかります。
家歴書ってなに?
家歴書とは、その建物が「どのように作られたか」「どのようなメンテナンスをしてきた」かを示すもので、いわば”住まいの履歴書”のようなもの。これがあれば、短期・長期の住宅のメンテナンス計画を立てやすくなり、家の売買を行う際に有利になると考えられています。建物がどのように作られたかを示す書類には住宅設計図書、施工記録、契約書類、調査評価書、維持管理記録などがあります。それぞれについて具体的に書き出してみましょう。
■住宅設計図書
意匠図・構造図・設備図といった設計図をはじめ、役所に提出した確認申請関係書類、取扱説明書など。
■施工記録
主に建設中の様子を記録した図書で、工事工程表、工事経過報告書、工事記録写真、業者一覧表など。
■契約書類
契約書、保証書(住宅性能保証制度)、引き渡し書、施工引き渡し確認書、鍵・備品リストなど。
■調査評価書
地盤調査報告書、住宅性能評価書、住宅検査報告書など。
■維持管理記録
日常的な維持保全記録、定期点検記録、維持保全改修履歴書、光熱費記録データなど。
以上の書類は、家を建てる際、基本的に家の建設に携わった工務店やハウスメーカーなどから受け取る記録になります。建て売り住宅を購入する場合は一部揃わないものがあるかもしれませんが、なるべく入手しておくようにしましょう。
家主はこれらの書類を「家歴書」として大切に保存しておきましょう。そして次に大切なことが、住み始めてからのメンテナンスや改修の記録(=維持管理記録)をつけておくことになります。
メンテナンスや改修の記録
日ごろから適正なメンテナンスを施すことで家の資産価値を高めることができます。 |
また、今までの中古住宅は、経年数によって一律に減価評価され、20~25年で家そのものの資産価値がゼロとなっていました。こういった仕組みの中では、品質の良い家を買いメンテナンスを施して「家の資産価値を高めよう」という気も失せるというものです。その結果、良好な中古住宅の数や流通が少なくなり、良質な家が増えないという悪循環を起こしていました。
メンテナンスを施し、記録を残すことで資産価値をキープする
今後は品質や性能のよい住宅を購入し、メンテナンスを施してその結果が「家歴書」に残ることで、その家の資産価値が認められ、良質な中古住宅の流通が増えてくることが期待されています。ここで大切なポイントは1) 家歴書があること、2) 正しいメンテナンスがされてきた記録が残っているか、の2点になってきます。次のページでは家歴書、維持管理記録の付け方例をご紹介します。