【ガイドの不動産売買基礎講座 No.35】

古くからある住宅地では敷地の前面が「みなし道路」の場合も多いのですが、これはいったいどのようなものでしょうか。

建築基準法で定める接道義務によれば、建築物の敷地は「建築基準法による道路」に2m以上接していなければならず、この道路は基本的に幅員4m以上とされています。

しかし、実際には古くからある市街地などに幅員4m未満の細街路(狭あい道路)が数多く存在していることでしょう。

そこで幅員4m未満でも建築基準法が施行された際、すでに「建築物が立ち並んでいた道路」は特定行政庁の指定により「建築基準法上の道路」として扱うこととなっています。これが「みなし道路」(または「42条2項道路」あるいは単に「2項道路」)といわれるものです。


みなし道路におけるセットバック

みなし道路では、既存道路の中心線より両側にそれぞれ2mのラインが道路境界線とみなされ、建物を建築する際にはそのラインまで敷地を下げなくてはなりません。

これは「セットバック」と呼ばれ、不動産の広告などでは「SB」と表示されている場合もあります。こうして将来的に4mの幅員を確保しようとするわけです。

ただし、敷地の反対側が川やがけなどの場合には、4mに不足する幅を一方的にセットバックしなければならないこともあります。

また、向かい側の敷地においてすでにセットバックをしている場合などには、必ずしも現況の道路中心線から2mのラインにはならないため注意しなければなりません。

向かい側がセットバックをしているかどうかは、過去の建築確認申請における「概要書」を役所で閲覧することでわかる場合もあります。

しかし、1970年頃よりも前(自治体により異なる)の資料は保存されていないことが多く、さまざまな資料を突き合わせて総合的に判断することが求められます。

セットバック部分の敷地は、自己の所有地であっても、建ぺい率容積率算定の際の敷地面積からは除外されます。また、本来はセットバック部分を道路状に整備(舗装とはかぎらない)しなければならず、原則として所有者が勝手な用途で使用することはできません。


まだ認定されていない「みなし道路」は面倒なことに

建築基準法が施行されてから、その両側のいずれの敷地でも建築確認の申請が出されたことのないような場合には、「みなし道路」として認定してもらうことが必要です。

しかし、そのためには建築基準法施行日(昭和25年11月23日)以前に建築物が立ち並んでいたことを証明しなければならず、結構やっかいなことになるでしょう。

なお、建築基準法施行日以降に都市計画区域に編入された地域にあっては、その都市計画区域編入日以前に建築物が立ち並んでいたことが要件となります。

ちなみに、1992年の法改正によって「6m道路の規定」が新設され、特定行政庁が指定する区域では、みなし道路の幅員4mを6mに、中心線からのセットバック距離2mを3mに、それぞれ読み替えて適用することになっていますが、実際の指定例はまだ少ないようです。


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