不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

リバースモーゲージで老後も安心できる?

公的年金をはじめ、老後への不安感が増している現在、改めて注目されているのが持家を利用した「リバースモーゲージ」です。ところで「リバースモーゲージって何?」という人も多いはず。その概要を知っておきましょう。(2017年改訂版、初出:2003年7月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.59】

「リバースモーゲージ」という言葉を聞いたことはありますか?

「逆抵当融資方式」ともいわれますが、何だか難しそうで、まだ一般的に認知されているとはいえないでしょう。簡単にいうと「高齢者などが持家を担保にして生活資金の融資を受け、本人が死亡したときに売却して一括返済する仕組み」のことです。

アメリカでは1960年代にスタートし、日本では1981年に武蔵野市が全国に先駆けてこの制度を導入しました。

その後、いくつかの自治体や民間の信託銀行でも導入されましたが、バブル崩壊後の担保不動産の資産価値下落の流れのなかで、実質上は取り扱いをやめているケースが多かったようです。

しかし、近年の公的年金への信頼感低下や医療費負担の増大、定年後の再雇用への不安など、老後の生活が問題視されるなかで、リバースモーゲージが再び注目されています。

2003年に厚生労働省が各都道府県へ通知をして、社会福祉協議会による「長期生活支援資金貸付制度」などにリバースモーゲージの仕組みが取り入れられたほか、2013年から2014年にかけてメガバンクによる取り扱いも始まりました。

リバースモーゲージにはいくつかのタイプがあり、たとえば居住用不動産の担保評価にもとづいて貸付限度額を設定し、その限度額に達するまで毎月一定額を受け取る(融資を受ける)ことができるものもあります。年金的なイメージで考えればよいでしょう。

また、初めにまとまった資金を受け取るタイプ、利用限度額内で自由に引き出すことができて使いみちも自由なタイプ、自宅のリフォーム資金やサービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などに使途が限られるタイプなどもあります。

その返済方法などもさまざまですが、おおむね共通するのは貸付契約終了時(契約者が死亡したときなど)に、担保不動産を売却することで一括して返済・清算をすることです。

自治体による取り組みでは「長期生活支援資金」などの名称で、「リバースモーゲージ」とはうたっていない場合も多いようですが、ある自治体では次のような要件を定めています。

□ 借入申込者が単独(または同居配偶者と共有)で所有し、居住している不動産であること
□ その不動産に賃借権抵当権などが設定されていないこと
□ 配偶者または親以外の同居人がいないこと
□ 世帯の構成員が原則として65歳以上であること
□ 借入世帯が市町村民税非課税程度の低所得世帯であること
□ 貸付限度額は土地評価額の7割程度
□ 貸付額は1か月あたり原則30万円以内(病気療養などによる臨時増額可)
□ 貸付利率は年3%または長期プライムレートのいずれか低いほう
推定相続人の中から連帯保証人を1名選任すること
□ 居住不動産に根抵当権を設定すること

つまり、この場合は住宅ローンなどを返済し終わって抵当権のないマイホームに居住し、子供は同居していない低所得の高齢者世帯が対象ということです。

それに対して民間金融機関のリバースモーゲージでは、所得が比較的多い高齢者世帯を対象にする場合もあるでしょう。

知っておきたいのは、大半のリバースモーゲージで「マンションと借地権の一戸建て住宅は対象外」だということです。

マンションも対象とするリバースモーゲージは一部に限られるほか、一戸建て住宅でも対象地域を大都市圏に限定している例が少なくありません。

国はリバースモーゲージの普及に取り組んでおり、将来的には制度が変わっていく可能性も高いでしょうが、少なくとも現時点では土地権利が所有権の一戸建て住宅を所有しないと、この制度を受けることができないのです。

これから住宅を購入する予定で将来の年金などに不安のある人は、今後の制度内容の改定などにも注意しておきましょう。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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