買換えを要件としない損益通算および繰越控除制度
前ページで説明した「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」では、新たなマイホームに買換えることが要件となっています。しかし、不動産価格の下落によりマイホームを売却しても住宅ローンを返済しきれず、買換えもままならないケースが多かったことから、平成16年度の税制改正で、買換えを要件としない特例(特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)が新たに設けられました。
この制度による他の所得との損益通算および翌年以降3年間の繰越額は、マイホームの譲渡損失のうち、住宅ローンの残高が売却価格を上回る部分(住宅ローンの残高から売却価格を差し引いた金額)が限度となります。ただし、通常の計算による譲渡損失のほうが小さい場合にはそちらが限度です。
その他の主な適用要件は通常の繰越控除の場合と同じで、
□ | 売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超える居住用財産であること | |
□ | 売却の契約前日時点で、一定の住宅ローン残高があること | |
□ | 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること | |
□ | 売却する相手先は、親族など一定の関係者ではないこと |
などとなっています。
なお、こちらの特例についても、買換えをする場合の特例と同じく、平成25年12月31日までの売却に適用されることとなっています。
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