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マイホームの売却で損失が生じたときの特例


【ガイドの不動産売買基礎講座 No.68】 (初出:2003年9月)

マイホームを売却したときに譲渡所得税が課税されるのも、3,000万円の特別控除買換え特例の対象となるのも、利益があった場合のことでしかありません。それでは逆に、売却に伴う損失があった場合にはどうなるのでしょうか?

現在は、買換える場合と買換えない場合とで、よく似た二つの特例が運用されています。


マイホームを売って損失が生じれば税金の控除を受けられる

マイホームを売却して損失があった場合、これを買換えるのであれば「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)という制度を利用することができます。

この場合の「譲渡損失が生じた」とは、当初の購入金額から、建物分に対する減価償却費と、購入時および売却時の諸経費(控除対象分)を差し引いた金額よりも、さらに低い金額で売却したときが該当します。バブル期やそれ以降の数年間に住宅を購入された方が、いまその住宅を売却しようとすれば、この特例に該当するケースが多いことでしょう。

この特例を利用すると、譲渡をした年だけでなく、その翌年以後3年内の各年における総所得金額から一定の方法による控除を受けることができます。つまり他の所得に対する所得税を減らすことができるわけです。4年間の課税所得金額合計よりも損失額のほうが大きければ、その間の所得税がゼロになります。

詳しい計算方法や要件などについては≪マイホームの売却で損失が生じたときの特例≫をご参照ください。ここでは、特例を適用するための主な要件を確認しておくことにしましょう。

  平成25年12月31日までに、(その年の1月1日時点で)所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡すること
     
  自分がかつて住んでいた住宅を売却する場合には、住まなくなってから3年目の年の12月31日までの売却であること
     
  売却する相手先は、親族など一定の関係者ではないこと
     
  一定期間内(今年の売却であれば、昨年から来年末までの間)にマイホームを新たに「返済期間10年以上の住宅ローン」で取得(建設を含む)し、かつ取得の翌年12月31日までに居住を始めること(その見込みである場合を含む)
     
  新たに取得するマイホームの登記上の床面積が50平方メートル以上であること
     
  控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
     
  売却した年の前年または前々年に、居住用財産の課税に関する各種特例の適用を受けていないこと

なお、この繰越控除と、買換えたマイホームに対する住宅ローン控除とを併用することもできますが、損失額が大きい場合には4年目まで所得税額が発生しませんので、実質的に住宅ローン控除の適用は5年目からとなります。

ちなみに、平成15年までは「売却の契約前日時点で、売却する住宅にかかる住宅ローン(返済期間10年以上のもの)の残高があること」という要件があったものの、平成16年度の税制改正により、平成16年1月1日以降の売却ではこれがなくなりました。


買換えを要件としない譲渡損失の繰越控除の特例…次ページへ