今回はストレートなご質問をいただきました。誰もが少しでも安く、かつ良質な住宅を買いたいところでしょうが……。



question
よく「不動産に堀り出し物はない!」という言葉を聞きます。競売などでは安く買えるケースもあるようですが、競売で買う方法以外に、掘り出し物は本当にないのでしょうか?
(神奈川県川崎市 川田さん 20代 男性)



answer
「掘り出し物」というものをどう考えるかによっても若干違うでしょうが、単純に「相場よりも “だいぶ” 安い物件」(もちろん欠陥住宅の意味ではありません)として考えれば、「掘り出し物」は……あります!!

しかし、残念ながら一般の消費者が買うことはできません。というよりも「一般消費者が掘り出し物を買うことのできる機会は極めて少ない」というのが実態でしょうか。

宝箱

売主が辛い事情で手放す物件も、買主にとっては「掘り出し物」?

世の中にはさまざまな事情で相場よりも安く不動産を手放す人がいます。自分の事業に行き詰まったり、会社の資金繰りのためだったり、他の借金を抱えていたり、あるいは相続がからんでいたり……。

また、買い替えで現住居が売却できないリスクを避けるために下取りへ出すケースもあるでしょう。さらに、不良債権化した不動産が金融機関などからまとめて安価に放出されることや、競売前における任意売却のケースなどもあります。

買い替えの際の下取りではそれほど極端には安くなりませんが、早急に現金化が必要なケースなどでは相場の2~3割引き、まれには4~5割引き、というケースも現実にあります。

このような物件を不動産業者が買い取り、リフォームやリノベーションなどをして、一般消費者へ “相場で” 売却することがあるのです。買い取り専門の業者が何社も存在することを考えてみれば、「相場よりも安く買える」物件が決して少なくないことが分かるでしょう。

このような物件を初めから一般消費者が購入できれば、それこそ「掘り出し物」を手に入れたということになるのでしょうが、そこには大きな壁が存在します。

まず、相場よりも格段に安く売却される物件が広告に出されることはなく、業者間の情報交換システム=レインズでも公開されないケースが大半ですから、そのような物件を取り扱う不動産業者と親密な付き合いがない限り、物件情報を入手することすらできません。

ちなみに、「掘り出し物」と表示した広告をすることが限定条件付で認められる場合もありますが、本当の「掘り出し物」にわざわざ広告経費をかけることはないでしょう。

次に、そのような物件を売却する売主はたいてい、早急かつ確実に換金することが必要なわけですから、即座に購入代金全額を現金で用意できるような買主でなければなりません。

つまり、住宅ローンを借りて購入資金を用意するとか、融資を受けられない場合の解除条件付契約にする、などということは、売主だけでなく債権者の立場からも容易に認めることができないのです。この時点で大半の一般消費者は対象外になってしまうでしょう。

さらに、購入した物件に瑕疵(隠れた欠陥など)があったとしても、もともと資力のない売主なわけですから、その責任を追及することは現実的に無理があります。つまり、物件購入のリスクはすべて買主が負う覚悟も必要です。

そして、エリアの問題もあるでしょう。買い取り専門業者などは広いエリアで購入物件を探しているからこそ数をこなせるのであり、たとえば「自由が丘駅から徒歩10分以内の物件」などと条件を付けて待っていたら、希望に合致する物件にめぐり合えるまで何年あるいは何十年かかるか分かりません。

一般消費者が購入するときに、「安ければどこでもいい」ということはないでしょうから、現実的に考えれば冒頭に書いたとおり「一般消費者が掘り出し物を買える機会は極めて少ない」ということになるわけです。

その一方で、不動産業者が物件を安く買い取って消費者へ転売する「買取再販」では、かなりの利益を得ているのではないかと疑念を持たれるかもしれません。

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買取再販は外から見れば大儲けかもしれないが、内実は……

たしかに単純な転売で利益を得ることも決してないとはいいません。しかし、多くの場合は物件仕入れ時に媒介業者へ手数料を支払い(業者間でも手数料はきっちり支払います)、登記費用(登録免許税など)や不動産取得税を支払い、新規内装を施したり設備を交換したりし、広告・販売経費をかけ、さらには売却時に買主をつけた媒介業者へまた手数料を支払います。

そうすると、回りから見られているほど利益が残らないケースが多いのも実情でしょう。

高額な内装を施したからといって、そのぶん相場よりも高く売れるというわけではなく、資金の回転を優先させれば、内装経費をかけたうえで相場より安く販売することもあります。

買い取り業者が大きく儲けているかどうかはケースバイケースで、物件によってその中身はかなり違うようです。


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