固定資産税等と消費税額等の微妙な関係

住宅など不動産の売買をしたとき、引き渡し日を境として固定資産税都市計画税を日割りで清算することが、一部の例外を除き通常の取引ではほとんど慣例的に行なわれています。

たとえば、7月1日に物件の引き渡しを行ない、固定資産税・都市計画税の合計年額が100,000円だった場合、1月1日から6月30日までの181日分(100,000円×181/365=49,589円)を売主の負担とし、7月1日から12月31日までの184日分(100,000円×184/365=50,411円)を買主の負担として、買主から売主へその負担分を支払うというものです。

なお、関西地方やその他の地方圏では、1月1日ではなく4月1日を起算日として日数計算を行なう場合も多いようです。

一般的な感覚では、「固定資産税・都市計画税という税金を買主も負担している」ものと捉えられるでしょう。ところが、これには法的な根拠がなく、国税庁は「慣例的に行なわれている固定資産税・都市計画税の分担金の授受は、売買代金の一部である」という考え方をしています。

そのため、「固定資産税・都市計画税の分担金は代金の一部であるから、このうち建物に係るものについては消費税を課す」(消費税法基本通達10-1-6:未経過固定資産税等の取り扱い)こととされています。通達の原文は難しい表現なので、だいぶ意訳をしていますが……。

上記の計算例において売主が課税事業者であれば、買主から売主へ支払うのは50,411円ではなく、これを土地の固定資産税・都市計画税と建物の固定資産税・都市計画税に分けたうえで、建物分に消費税額等を付加した金額ということになります。

ただし、現実には不動産業者の対応がまちまちで、この分の消費税額等を加算していない例も多いようです。いずれは消費税額等の分まで請求することが大半になっていくことでしょう。

お金

消費税額等の負担は、住宅購入のさまざまな場面で必要になる

なお、固定資産税・都市計画税は1月1日現在の所有者に対し、その年1年分の納税義務が生じる税金ですが、たとえば年末に引き渡しをしたのにも関わらず登記申請手続きの遅れなどから、1月1日現在の正しい所有者である買主ではなく、前所有者である売主に対して請求がされることがあります。

そのような場合は、買主から売主へその税額分を支払ったとしても消費税は課されないことになっています。何らかの事情で所有権移転登記がなされずに同様の事態が生じたときも同じ取り扱いです。


消費税額等と印紙税の関係

売買契約書や領収書(個人が営業外で発行する領収書は除く)などには、その記載金額に応じて印紙税が課税されますが、次の文書については、消費税額等を含めない金額を記載金額とみなすことになっています。ただし、消費税額等が明確に区分されていることが要件です。

  不動産の譲渡等に関する契約書(売買契約書など)
  請負に関する契約書(建築工事請負契約書など)
  金銭または有価証券の受取書(領収書など)


消費税の総額表示

2004年4月1日から消費税額等込み価格の「総額表示」が義務付けられました。この消費税額等の総額表示は不特定多数の者を相手とするものが対象で、不動産広告やパンフレット、ポスターなど消費者に対して行なうものは、その媒体種別を問わず総額表示が求められます。

ただし、2014年の増税に伴い総額表示義務を緩和する特例措置が設けられ、2021年3月31日まで適用される予定です。

特定の者との間で作成される契約書や見積書、請求書などは、総額表示義務の対象外ですが、不動産の売買契約書ではそれ以前から、消費税額等を含んだ総額とその内訳(本体価格と消費税額等、または土地価格・建物価格と消費税額等)を表示することが一般的となっています。

ただし、消費税が課税される店舗や事務所などの賃貸借契約書では消費税額等を記載せず、「月額賃料○○万円(別途消費税相当額)」などと記載するケースも多いようです。消費税率がいつ改定されても、契約書はそのままで対応できるようにするためでしょう。


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