住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

必読!住宅ローン控除適用のケーススタディ(3ページ目)

住宅ローン控除の解説を読んでみても、一人ひとりのおかれた立場によって、実際にはどうなるのかよく分からない場面も多いでしょう。また、控除が適用される10年の間には、身のまわりでさまざまな変化も起きます。想定されるいくつかのケースをもとに、住宅ローン控除適用の可否や注意すべきポイントなどをまとめました。(2017年改定版、初出:2005年10月)

執筆者:平野 雅之


勤務先の会社が所有していた住宅などを安価に譲り受けたとき

給与所得者が使用者または事業主団体から、使用人である地位に基づいて(社員である立場を利用して)家屋または敷地を時価の2分の1未満の価額で譲り受けた場合には、住宅ローンの内容にかかわらず、住宅ローン控除は適用されないことになっています。

このようなケースに該当するとき、実際に税務署が「時価の2分の1」をどう判断するのか分かりませんが、あまり楽観的には考えないほうがよいでしょう。


土地を先行取得してから建物を新築したとき

次のいずれかのケースに該当するときには、土地先行取得のための借入金残高を、住宅建築のための借入金残高に加え、その合計額を住宅ローン控除の対象額にすることができます。

ただし、たとえば今年中に土地取得のための借入れをして、来年中に住宅建築のための借入れをするような場合、今年の所得分について住宅ローン控除は受けられません。ちなみに、新築した住宅への入居が再来年になれば、今年も来年も住宅ローン控除は受けられないことになります。

居住用家屋の敷地を、その新築の日前2年以内に取得した場合で、新築した家屋に対しても土地借入金の抵当権が設定されていること
 
宅地建物取引業者から建築条件付で土地を購入し、その契約締結日以後3か月以内に建築工事の請負契約が成立していること
 
土地購入資金を独立行政法人住宅金融支援機構、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人福祉医療機構などから借入れ、その借入金の受領が新築工事の着工日以後であること
 
地方公共団体、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)、地方住宅供給公社、土地開発公社との間で建築条件付宅地分譲契約により土地を取得したこと

土地の先行取得に関してこれらの要件を満たさない場合には、その後に建築した家屋の取得費用にかかる借入分だけが住宅ローン控除の対象となります。

また、土地をローンで購入して建物を現金で支払ったような場合は、住宅ローン控除の対象となりません。逆に土地を現金で購入して建物を住宅ローンで支払えば、建物についてのみ住宅ローン控除を受けることができます。


定期借地権による住宅を購入し、保証金を支払ったとき

定期借地権による住宅を取得するための借入金のうちに、権利金や保証金に充てる部分がある場合、一定の算式により計算した金額を住宅ローン控除の対象にすることができます。

ただし、その権利金や保証金の性質や処理方法の規定(土地所有者との間の約定)などによって算式が異なりますから、事前に最寄りの税務署でご確認ください。



妻が夫の連帯保証人となったとき
夫と妻がお互いに連帯債務者となったとき
連帯債務者の妻が仕事を辞めたとき
住宅ローンとは別に住宅取得資金の贈与を受けたとき
オーバーローンを組んだとき
繰上返済によって返済期間の短縮をしたとき
年末に一部繰上返済をしたとき
住宅ローンを借り換えたとき
勤務先の会社が所有していた住宅などを安価に譲り受けたとき
土地を先行取得してから建物を新築したとき
定期借地権による住宅を購入し、保証金を支払ったとき
転勤により本人が住まなくなったとき
いったん住まなくなった住宅に再入居したとき
日本へ帰任する予定で住宅を購入したとき
住宅ローン控除適用中の住宅を増改築したとき
親の家を増改築し、その費用を子が負担したとき
店舗付住宅、事務所併用住宅を取得または増改築したとき
セカンドハウスを購入したとき
住宅ローン控除の適用期間中に年収が3,000万円を超えたとき
住宅ローン控除を受けていた本人が亡くなってしまったとき、災害のとき

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