決済前に転勤命令を受けたとき、売買契約を解除するだけでなく、そのまま契約を継続することも選択肢として考えられます。
単身赴任をする場合
契約を解除しないで単身赴任という選択肢もある
ただし、買主本人(住宅ローンの申込者本人)が決済前に単身赴任先へ住民票を異動させてしまうと、面倒なことにもなりかねないので注意が必要です。
また、単身赴任先の家賃などによって毎月の負担が増えることはないのか、勤務先によく確認しておかなければなりません。
たいていは家賃補助や借上げ社宅などの制度もあるでしょうが、もし万一、毎月の負担が大きく増える場合には、住宅ローンの実行に影響を及ぼす可能性も否定できません。
そのまま第三者に貸す場合
購入する住宅に本人や家族が住まないのであれば、原則として住宅ローンを借りることはできません。しかし、投資用のローン(アパートローンなど)を借りられる要件が整っていれば、これに切り替えて売買契約を継続し、その住宅を第三者に貸すこともできます。自分たち家族が住むつもりで選んだ新居へ、いきなり第三者を住まわせることに抵抗を感じる人もいるでしょうが……。
この場合、数年後に戻ることを前提として1年~3年程度の「定期建物賃貸借契約」とすることが一般的です。これは借地借家法の一部改正(2000年3月1日施行)により導入された制度で、賃貸借契約満了時の更新を認めないものです。
ただし、借主にとっては通常の賃貸借契約よりも不利なため、家賃を周辺の相場よりも低めにするなどの措置が求められます。また投資用のローンの金利は、たいてい住宅ローンよりも高いため、事前によく確認したうえで十分な試算をしてみることも大切です。
なお、転勤を隠して金融機関から低金利の住宅ローンを借り、そのまま自分たちは住まずに第三者へ貸したことが分かれば、適用金利を高く変更されることもあるでしょう。
また、いったん入居した後の転勤で一時的に第三者に貸す場合には、住宅ローンの継続として取り扱ってくれる金融機関もあります。
住宅ローン控除との関係
単身赴任先が国内で、購入した住宅に家族が住んでいる場合には、本人も住んでいるものとみなして住宅ローン控除の適用を受けることができます。単身赴任先が海外だった場合には、残念ながら住宅ローン控除の対象外です。購入した住宅に本人も家族も住まなければ、住宅ローン控除の適用は受けられません。
ただし、取得後にいったん入居してからその年中に転勤命令を受け、1年目に住宅ローン控除の適用を受けることができなかった場合(家族もその住宅での居住を続けなかった場合)には、それが2009年1月1日以降であれば、再入居した年から残りの期間について住宅ローン控除の適用が認められます。
また、2013年1月1日以降は、新たに取得していったん入居した住宅を転勤命令によって離れ、同じ年の12月31日までに再入居した場合には、1年目から住宅ローン控除の適用が認められるようになっています。
これは従来、「12月31日まで引き続き居住」という要件を満たさないために適用が除外されていたものです。
※参照 ≪必読!住宅ローン控除適用のケーススタディ≫
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