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契約締結後に転勤!手付放棄しないとダメ?(2ページ目)

住宅を購入すると転勤になりやすい!? 売買契約を締結した後でいきなり転勤を命じられたら、いったいどうすればよいのでしょうか?(2017年改訂版、初出:2006年12月)

執筆者:平野 雅之


「転勤による手付金放棄」という事態を避けるためにはどうすればよいのか、いくつかのパターンとそれぞれの問題点を考えてみましょう。


転勤による白紙解除を特約に盛り込んでもらう

会社員

住宅を購入するときは、人事の動向を見極めることも必要?

売買契約を締結する前の時点において、決済日までに転勤命令を受ける可能性が予測されるような場合には、売主と交渉のうえで「もし転勤命令を受けたら売買契約を白紙解除する」という旨の特約を盛り込んでもらうこともひとつの方法です。

しかし、この特約が万能だとはいえません。

あくまでも売主の承諾を得ることが前提ですから、とくに買い手のつきやすい新築物件や、人気がある住宅地の中古物件などでは、この特約を求めることによって他の購入希望者よりも不利に扱われる可能性が高いでしょう。

また、この特約を盛り込む場合でも「決済日の前日まで適用してくれ」ということは常識的に通用しませんから、特約の適用期限を一定の期日で区切ることになります。

そうすると、万一この特約の適用期限後に転勤命令を受けた場合には、前ページのような「売主の譲歩による白紙解除」がかえって難しくなることも考えられます。

さらに「実際の転勤日が決済日よりも数か月後の場合にはどうなるのか」「転勤先が購入した物件からでも頑張れば通える地域だった場合にはどうなるのか」など、特約の適用条件を明確にしておかないと、解釈の違いが原因となってむしろ紛争の種ともなりかねません。


住宅ローン利用の特約を適用する

転勤命令を受けたのが「住宅ローン利用の特約」(融資利用の特約)の適用期限内(金融機関から融資の正式な承認を得る前)であれば、この特約の適用によって売買契約を白紙解除することもできます。

住宅ローンは原則として本人が居住することが前提ですから、転勤によって本人が入居できないこと(単身赴任の場合を除く)が明らかになれば、融資の承認は得られないわけです。

ただし、売買契約をやめたくなった買主による意図的なもの(特約の悪用)とみなされないために、転勤後の居住地における住民票(同居家族分を含む)などの提出を求められるケースも多いでしょう。

なお、「住宅ローン利用の特約」における申込み条件などが明確になっていないと、「住宅ローンが借りられないなら、投資用のローンを借りればいいじゃないか」という見解の相違によって争いを生じる余地も残ってしまいます。

また、「住宅ローン利用の特約」では転勤による融資否認について触れていないことが多く、とくに個人が売主の中古住宅売買では、その売主がなかなか納得せずに話がこじれてしまうこともあるでしょう。


決済直前の白紙解除は困難

転勤による白紙解除の特約がなく、住宅ローン利用の特約の適用期限も過ぎてから白紙解除を求めようとすれば、前ページのように「話し合いによる売主の譲歩」に頼らざるを得ません。

しかし、どんなに理解のある売主だったとしても、決済直前になって白紙解除を求めることには無理があります。

場合によっては手付金の放棄だけでは済まず、違約金の支払いを求められたり、原状回復費用を求められたりすることもあるでしょう。

また、売主が個人の中古住宅売買で、その売主に買換えがからんでいるようなときには、いろいろと難しい問題も発生します。

いずれにしても、転勤などの可能性があるときには早めに内示してもらうように勤務先の人事部や上司に頼んでおいたり、(もしそれができる立場なら)住宅を購入してからしばらくは転勤がないようにしてもらったりすることも大切です。

住宅の購入を勤務先に知られたくない場合があるかもしれませんが……。


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