土地購入/土地価格・地価・路線価

路線価・公示地価・基準地価の違いを知る!

路線価、公示地価、基準地価……。いつも新聞やニュースでみるけれどそれぞれの違いはあまり知らない、という人も多いのではないでしょうか。そこで路線価、公示地価、基準地価の特徴と活用方法などについてまとめてみました。(2017年改訂版、初出:2007年7月)

執筆者:平野 雅之


個別の要素だけでなく、売主と買主、それぞれの事情に左右される面も強く、ただでさえ分かりづらいのが日本の土地価格です。

国や自治体から発表される公的な土地価格だけでも「路線価」「公示地価」「基準地価(都道府県基準地価格)」「固定資産税評価額」など種類が多く、分かりにくさに拍車をかけているかもしれません。

今回は公的な価格のうち「路線価」「公示地価」「基準地価」の3つについて、それぞれの特徴や違いを整理しておくことにしましょう。


路線価とは?

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があるものの、一般的には「路線価」といえば「相続税路線価」を指すことが多いでしょう。ちなみに「固定資産税路線価」は、一つひとつの土地の固定資産税評価額を決める際の基準となる価格です。

相続税路線価は、相続税および贈与税の算定基準となる土地評価額で、後ほど説明する公示地価の8割程度が目安とされています。調査は相続税法に基づいて実施され、国税庁(国税局)がそれぞれの価格を決定します。

路線価図の一部

路線価図の一部。道路面に対して価格が付けられている

公示地価などが敷地そのものについての価格(単価)なのとは異なり、路線価は一定の距離をもった「路線」に対して価格が決められます。

つまり、その路線に面する宅地の価格(単価)はすべて同じという考えかたで、個々の敷地における価格はその形状などに応じて補正をします。

ただし、大都市部の幅の広い路線などでは、上り車線側と下り車線側、あるいは道路の途中から別々の異なる価格が付けられる場合もあります。

都市部の市街地では、ほぼすべての路線(公道)に対して価格が付けられるため、その基礎となる調査地点(標準宅地)の数は約32万5千(2017年の場合)にのぼります。

後記の公示地価や基準地価における調査地点の10倍を上回る数のため、評価時点は毎年1月1日ですが、これが公表されるのは7月1日となっています。

なお、2007年以前は毎年8月1日に公表されていましたが、これが1か月早められる代わりに、閲覧用の分厚い路線価図の作成が取りやめられました。

全国の路線価図(過去7年分)は国税庁のページで閲覧することができます。路線価図には1平方メートルあたりの単価が千円単位で表示されていますので、たとえば図中に「200」とあればその単価が20万円ということになります。


公示地価とは?

公示地価は、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき、国土交通省による土地鑑定委員会が毎年1回公示する標準地の価格であり、調査は昭和46年(地方圏は昭和47年、一部の用途は昭和50年)から毎年実施されています。

公示対象は原則として都市計画法による都市計画区域内ですが、都市計画区域以外でも土地取引が相当程度見込まれるものとして省令で定められた区域が対象に加わります。

公示される価格はその年の1月1日時点で、3月中旬頃に発表されます。土地価格動向の指標として、新聞紙上などで毎年、最も大きく取り上げられますから、これを見たことのある人も多いでしょう。

公示地価は公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、「一般の土地取引価格に対する指標となること」「適正な地価の形成に寄与すること」が目的とされています。

そのため、それぞれの土地がもつ本来の価値(売り手にも買い手にも偏らない客観的な価値)を評価することになっており、現存する建物などの形態に関わらず、対象土地の効用が最高度に発揮できる使用方法を想定したうえでの評価が行なわれます。

それぞれの地点につき、2人以上の不動産鑑定士が別々に鑑定評価を行ない、その結果を調整したうえで価格が決定されるため、標準地の単位面積あたりの “正常な価格” (更地価格)だというのが建前です。

また、これが公示される際には、「住宅地」「商業地」「宅地見込地」「準工業地」「工業地」「調整区域内宅地」に分類されます。

ちなみに2017年の公示地価では、公示対象の区市町村が1,376(東京23区および786市529町38村)、対象の標準地が26,000地点となっています。標準地の数は、2004年の31,866地点をピークに年々減らされていましたが、2016年および2017年は増加しました。

なお、「公示地価」ではなく「地価公示」「地価公示価格」「公示価格」「標準価格」「標準地価格」などさまざまな表記もされていますが、細かくいえば「地価公示法による標準地の価格」または「地価公示制度による標準地の価格」あるいは「地価公示に基づく地価」です。あまり深く考える必要はないでしょうが……。

公示地価の詳しい内容については、国土交通省による「土地総合情報ライブラリー」でみることができます。


基準地価とは?

公示地価とよく似たものに基準地価があり、調査は昭和50年以降、毎年実施されています。

価格の性質や目的、評価方法などは公示地価とほぼ同様に考えて差し支えなく、大きく異なるのは価格時点(基準日)が7月1日(公示地価は1月1日)である点です。こちらは毎年9月20日頃に公表されます。

また、根拠となる法律が国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)(公示地価は「地価公示法」)であること、調査の主体が都道府県(公示地価は国)であることなどが公示地価と異なります。

さらに、公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対して、基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、宅地ではない林地なども含んでいます。そのため、平均的な地価動向にも違いが生じることに注意しなければなりません。

調査の対象となる基準地の多くは公示地価と異なっていますが、一部は公示地価の標準地と重複しているため、半年ごとの地価動向を確認することができる場合もあります。

また、調査対象地点のことを公示地価では「標準地」といい、基準地価では「基準地」というところにも違いがあります。「基準地価」といわれる所以ですが……。

ちなみに2016年の基準地数は、宅地(住宅地、商業地、工業地)が21,168地点、林地が507地点、合計21,675地点です。調査対象範囲は公示地価より広いものの、地点数は公示地価よりも少なくなっています。

なお、公示地価では評価にあたる不動産鑑定士が1地点につき「2人以上」となっているのに対して、基準地価の規定では「1人以上」となっています。また、このところ数年は基準地数が年々減りつつあります。

「基準地価」というだけでなく、「基準地価格」「基準地の標準価格」「都道府県地価」「都道府県基準地価格」「地価調査価格」など、さまざまな表記がされるところは公示地価と同じですが、それぞれの自治体から公表される際には「○○県基準地価格」のように表されることが多いでしょう。

基準地価の詳しい内容については、公示地価と同様に、国土交通省による「土地総合情報ライブラリー」でみることができます。


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