法定の車庫サイズは、ない
車庫のサイズについて法律の規定はありませんが、国土交通省による標準駐車場条例(一定規模以上の建築物の駐車施設について定めたもの)では、「駐車台数1台につき幅2.3m以上、奥行5m以上」をモデルとしています。ちなみに、車いす利用者のための駐車施設は「幅3.5m以上、奥行6m以上」です。
また、スペース内にきちんと車を停められ、乗り降りに支障がなければ車庫証明も取得できるため、かなりぎりぎりのサイズでも問題はないとされますが、実際の運用にあたっては申請先の警察署によって違いもあるようです。
少しはみ出していてもまったく問題がなかったという事例を聞くことがある一方で、東京都新宿区内に住んでいた私の知人は、奥行が5cm足りないという理由(幅は2mほどの余裕があった)で車庫証明を取得できなかったのだそうです。
見た目ではあまり気付かない程度に、バンパーの一部が道路へはみ出すだけでしたが……。
前面道路の幅も問題!
前ページで紹介した財団法人駐車場整備推進機構による「最低必要なスペース」は、実は前面道路の幅員が6m以上の場合を想定したものです。これが4mの場合なら、車庫の幅はさらに60cmほど広く考えることが必要です。前面道路の幅が4m未満(狭あい道路)の場合なら、もっと余裕をみなければなりません。
さらに、それぞれの車がもつ「最小回転半径」の性能も問題です。前面道路の幅が狭く、車庫の幅も狭く、最小回転半径が大きければ、何度も切り返さなければ車の出し入れができないことになってしまいます。
このようなとき、下図のように車庫の一角にすみ切りを設けておけば、車庫の幅の狭さを少しだけカバーできる場合もあります。
また、変形した敷地や車庫の出入口に傾斜がある敷地など、もともと車の出し入れに慣れが必要な場合は、少しでも車庫の幅に余裕が欲しいところです。道路に立っている電柱が邪魔になる場合も同様でしょう。
自転車のことも考えて
家族が使う自転車やバイクがある場合には、車庫とは別に専用のスペースを設けることが理想ですが、現実にはなかなかそうもいきません。自転車1台で1m×2mのスペースが必要とされていますから、車庫の片隅に自転車などを置くつもりなら、そのぶんの余裕があるのかどうかについてもしっかりと確認しておきましょう。
原付などではなく、大きめのバイクのときには、もちろんそれなりのスペースが必要です。
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