団体信用生命保険は、無条件で入れるわけではない
団体信用生命保険(略称:団信)は、住宅ローンを利用する際にほとんどのケースで加入が必須です。住宅ローンの返済は長期にわたり金額も大きいため、債権保全の意味合いがあります。団体信用生命保険(団信)の加入条件とは?
<団体信用生命保険 目次>
団体信用生命保険とは?団信の目的と特徴
住宅を取得する際にほとんどの人は住宅ローンを利用します。長期間にわたって数千万円単位の借入・返済を行いますから、資金を貸す側は返済してもらえないリスク、借りる側は返済できないリスクがあります。団体信用生命保険とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した人が死亡した場合(あるいは高度障害になった場合)などにその人に代って債務(借金)を返済するための生命保険です。
住宅ローンを組んだ債務者が死亡しても、残された遺族は住宅ローンを支払い続ける必要がなくなります。万が一のときにも購入した住宅に家族が安心して住み続けるためにとても大切な仕組みなのです。
団体信用生命保険の保険金額と保険料はいくら?
団体信用生命保険の保険金額(契約金額)は住宅ローン残高となります。そのため返済が進んでいけば、保険金額も減少します。結果、保険料も減少するわけです。民間の金融機関では団信を強制加入にしているところが多いのですが、一部の民間金融機関などは任意加入のものもあります。なお、フラット35は2017年10月1日の申し込み分から、フラット35の支払いに団信の加入費用が含まれるようになったため、別途団信の特約料の支払いが不要になりました。
また、保険料は金利の中に含まれている(0.3%程度上乗せ)ことが多いようですが、なかには別途保険料を支払うなど、金融機関によっても仕組みが異なります。ちなみにこの保険料、保険金受取人が金融機関等であるため、生命保険料控除の対象とはなりません。
疾病保障付きの団信もある
団信の中には、「疾病保障付き」のタイプもあります。たとえば「三大疾病付(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)」は、これらの三大疾病になって所定の要件に該当すると、住宅ローンが弁済されるというものです。他にも最近は八大疾病付(三大疾病+高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)など、様々なタイプがあります。住宅ローンによって様々ですが、特徴的なのは単に死亡や高度障害だけでなく、八大疾病にかかって所定の状態になったときにはローンが免除されるようになっていることです。
加えて就業不能に対応する団信も出てきています。今は、昔のように必ずしも病気がすぐに死に直結するわけではないという医療技術の進歩などの影響もありますが、死亡率が下がったときにより、自宅療養などの状態になることも珍しくありません。
死亡することはなかったが、自宅療養で働くことができないと生活費や治療費はかかるのに収入がありません。さらに住宅ローンの返済も続くとなると、現代では住宅ローン返済中の就業不能も大きなリスクなのです(死亡保障だけでは対処できない)。
そのためこうしたことに対応する団信も出てきているわけですが、別途上乗せ金利が必要なケースもあるので、コスト負担も考慮して検討する必要があります。
検討の際は「住宅ローンに三大疾病の保険ってホントに必要?」も参考にご覧ください。
団体信用生命保険の加入条件は、年齢と健康状態
団体信用生命保険は万が一のことがあった場合、住宅ローンを完済してもらえる制度ですが、名前の通り「生命保険」です。そのため団体信用生命保険へ加入するには、健康状態などについての一定の加入条件があります。団体信用生命保険(団信)の加入条件
- 申込書兼告知書の記入日現在で、満15歳以上満70歳未満(満70歳の誕生日の前日まで)の人
- 生命保険会社の加入承諾がある人
住宅を購入する場合、物件選びや資金計画だけに目を奪われがちですが、健康であることも非常に大切なことです。ライフスタイルが多様化してくるなかで現在では晩婚化なども珍しくありません。
住宅購入もある程度年齢を重ねてからになると、健康状態に色々と問題がでてきがちです。単に資金上のことだけではなく、団信に加入できるかどうかも見落としがちですが、住宅ローンを利用する際には注意が必要なことです。
健康状態を理由に生命保険に入れないケースについて詳しくは「保険に入れない健康状態ってどんなもの?」をご覧ください。
団体信用生命保険に入れない場合の対処法は?
団体信用生命保険が生命保険である以上、健康状態によっては加入が断られることがあります。その場合どうするかも考えておきたいところです。そもそも団体信用生命保険は、一般の生命保険と比較すると告知などの基準はやや緩めです。「団信への加入が任意の住宅ローンを利用しましょう」と言ってしまうのは簡単ですが、緩めの基準でも生命保険に加入できないのは、それだけ病気のリスクが高いといえます。
団信に入らずにいると、万一のときに家族に住宅ローンの返済が残ることになりますので、対処方法は考えておく必要があります。団信の中には、いわゆる生命保険会社が提供する引受基準緩和型の保険に該当するタイプのワイド団信というものがあります。こうした方法も検討してみましょう。
それが厳しければ、連帯保証人をつけることで融資を受けられるケースもあります。もし既存に加入している生命保険があるならそれを活用するなり、金融機関と相談するなりしてください。なによりも団信なしで住宅を購入するリスクを家族で今一度話し合ってみてください。
団信で債権を担保する仕組みがないまま住宅ローンを組む、というのはリスクが大きくなります。健康状態になんらかの問題があるなら尚更です。不測の事態が発生すれば、残された家族も大変です。何とかなるでは何ともなりません。こうした点をよく考えて、住宅購入そのものをどうするか再考することも必要です。
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