生命保険/生命保険の使い方・請求方法

生命保険の契約者貸付とは? 利率・限度額・返済方法

生命保険には契約者貸付制度というものがあり、自分が入っている生命保険を担保にお金が借りられます。契約者貸付が利用できる保険の種類や、借りる際の利率(利息)、貸付限度額などについて解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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生命保険からお金が借りられるって本当?

生命保険はもしものときの「保障」だけでなく、他にも機能や活用方法があります。その一つが契約者貸付制度。自分が契約している保険に貯まっているお金を利用して融資を受ける仕組みです。
生命保険 契約者貸付制度

生命保険の契約者貸付制度とは

生命保険会社からお金を借りるという発想自体持っていない人も多いでしょう。生命保険で貸付が可能とはいうものの、お金を借りるわけですから、使わなくて済むのであればそれに越したことはありません。ただ、家計が苦しく必要に迫られたときには選択肢の一つとして覚えておきたい制度です。

契約者貸付で借りられる金額の限度額や利率、返済方法など、契約者貸付をうまく活用するポイントを解説しましょう。
   

生命保険の契約者貸付とは?

生命保険の契約者貸付とは、自分が契約している生命保険の解約返戻金のうち、一定の範囲内で貸付を受けられる制度です。

銀行等で融資を受けるのとは根本的に仕組みが異なり、自分が契約している生命保険の解約返戻金を利用します。
 

契約者貸付制度は、貯蓄性が高く解約返戻金のある生命保険が対象

どの生命保険契約でも契約者貸付が可能なわけではありません。貯蓄性があり、前述のように解約返戻金のある商品が対象です。保険の種類によっては解約返戻金のあるものとないものがありますが、解約返戻金がまったくないタイプの保険だと、契約者貸付を利用することができません。

解約返戻金のある貯蓄性の高い保険の例としては、終身保険養老保険個人年金保険などが該当します。 いずれにしても契約している保険によって異なりますから、自分の保険契約で契約者貸付を受けられるかは、契約先の保険会社に確認する必要があります。

一方でこれらの貯蓄性のある生命保険でも、契約後しばらくは契約者貸付が利用できないこともあります。生命保険は貯蓄性があっても預金とは違うため、加入後に短い期間で解約しても払い込みをした保険料の元本そのものがすぐに返金されません。解約返戻金が貯まるまで時間がかかるため、それを利用する貸付制度もすぐに利用できないことがあるのです。

いずれにしても消費者金融や金融機関からお金を借りなければならない状態なら、契約者貸付の利用を考えてみるといいでしょう。一般の融資に比べると金利が低く、細かい審査があるわけでもありませんので、この点はメリットです。
 

契約者貸付の貸付金利はどれくらい?

契約者貸付がお金を借りる制度である以上、貸付金利が何%でいくらまで借りられるのかは気になるところでしょう。

貸付金利は、契約している生命保険の予定利率に1~2%ほど上乗せした金利なのが一般的です。そのため、保険契約をしている時期によって金利は異なり、同じ保険会社でも予定利率の高い時代の契約だと高い貸付金利になります。また保険会社によって規定も違いますし、貸付を受ける時期によっても変わります。

多くの保険会社では自社のWEB上に契約者貸付の契約時期や保険商品の種類ごとに貸付利率を掲載していますので確認してみてください。加入先の保険会社名+契約者貸付などのキーワードで調べれば確認できるでしょう。

通常は予定利率が高く貯蓄性保険としての条件がいい契約ほど、契約者貸付の利率も高く設定されています。
 

契約者貸付の貸付限度額は?

生命保険 契約者貸付可能額

契約者貸付金額の可能額は?

貸付限度額は保険会社によって違うものの、通常、解約返戻金額の70~90%の範囲内です。契約時から時間が経っているほど保険料を多く支払っているため、解約返戻金も多くなります。そのため、現時点で契約者貸付を受けられる金額は保険期間の経過にともなって変わっていきます。
 

契約者貸付の返済はいつでもでき、「あるとき払い」でも可

なお、契約者貸付を受けた金額の返済は随時受け付けられます。通常の融資のように、いつまでに返済するというものとは異なります。貸付された金額の一部あるいは全部を一括して返済することがいつでも可能です。

契約者貸付の一番の特徴は「あるとき払いでもOK」ということです。お知らせはきますが、ある意味うるさい催促はありません。

仮に返済をしないまま保険契約が満期となったり、死亡・解約した場合は、貸付金額の元本と利息が満期返戻金、死亡保険金、解約返戻金から差し引かれる仕組みになっています。
 

契約者貸付を利用したら、より意識的に返済を

最後に契約者貸付の注意点についてお話ししておきましょう。「あるとき払いでもOK」が一つの特徴と言いましたが、当然その分の利息が取られます。いつまでも返済しないのは不利になります。

ガイド自身、契約者貸付を利用した人を何人も見ていますが、「あるとき払いでいい」となるとなかなか返済しないケースもでてきます。経済的に厳しい状態にあるので、急いで返済する必要がなければ後まわしになりがちなのは当然です。

ローンなど通常の借り入れをした場合のように、毎月いつまでにいくら返済しなければならないというものがない分、自分できちんと返済しないと、借りたままで返済しないというケースも珍しくありません。
 

貸付金を返済しないと、保険契約が失効したりするケースも

契約者貸付を受けなければならない状態ということは、家計も苦しい状態にあるのでしょう。結局、返済せずにそのまま、あるいはその後の保険料も支払えずに保険契約が失効ということもあります。

一時的に貸付を受けるのは仕方ないにしても、早期に家計を改善し、資金の目途をつけた時点で早く返済することが必要です。

また、貸付金の元利合計が解約返戻金を超えてなお返済がなされていないと、保険の保障が機能しない状態になります。この状態になった場合、超過分の支払いをする必要があります(東日本大震災の際、超過分の支払いについて、払い込みが困難な場合には支払い期限延長の特別措置が取られました)。

契約者貸付とはいわば、将来の保障を前倒しで受け取っていることでもあります。上手く活用すれば家計がピンチのときに役に立つ制度ですが、将来に必要な保障を先食いして無くしてしまうことになりかねません。

若い人なら新たな保険に加入し直すという選択もあるかもしれませんが、加入したときから年齢を重ねていて保険料が高くなったり、健康状態を損ねている新たな保険加入が難しくなることもあります。契約者貸付を受けられるということは、それなりの条件の貯蓄性保険に加入しているということです。

仮に保険に加入できる健康状態や経済状態であっても、マイナス金利の影響で条件のよい貯蓄性保険はどこもあまり取り扱っていないのです。あくまで緊急で資金が必要な場合、その資金を工面する方法の一つとして契約者貸付の存在を覚えておいてください。
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